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(2002年2月19日付)
ブッシュ政権は2003年度国防予算を3960億ドルへと大幅に増額した(前年度比450億ドル増)。
もとより米国では現在、通常兵器の一斉更新時期に差し掛かっている上、テロなどの新脅威に対抗するために軍組織改革や軍事技術革命(RMA)が必要とされており、その予算確保の難しさがクリントン政権以来、深刻な問題とみなされてきた。
国防予算は将来の米軍の規模と能力、ひいては将来の米国の役割と任務を規定する。兵器の欠陥や老朽化が原因で軍事作戦が失敗したり兵士が命を落とすことになれば、米国は将来必要な局面でも軍事力行使をためらうことになるかもしれない。潜在的敵国は米国のこのような弱点に付け入ろうとするだろう。そうなれば米国の同盟国も、アメリカのコミットメント(介入)に疑問を抱くようになってしまう。
もとよりブッシュ政権は世界レベルで同盟関係を強化してゆき、同盟ネットワークに依存しながら米国の世界的優位性を維持するのが目標だ。このような懸念を払拭するためにも国防予算の大幅増を必要と考える。
しかしこれには批判も多い。ブルッキングス研究所のマイケル・オハンロン博士は、国防予算の不要な増額はかえって軍部を甘やかし、米軍の構造改革へのインセンティブ(動機)を奪いかねないと指摘する。
いずれの立場をとるにせよ、実はこの問題は日本にとっても他人事ではない。ブルース・ストークス外交問題評議会上級研究員は次のような問題提起をする。米国は国防費大幅増で安保戦略のさらなる充実化を目指しているのに、日本では防衛費が横這いか減額という状況が今後何年も続くならば、日本は同盟国として一体どういう役割を果たせるのか?
実は、これは欧州でも大きな問題になっている。米国のRMAは欧州の水準をはるかに上回っており、すでに欧米共同の軍事作戦は困難になった。今後この能力差はますます拡大すると予想される。欧米間の軍事能力差を縮め、米国との軍事的相互補完性を確保することは、米国が「一国至上主義」的行動の誘惑に駆られないためにも極めて重要と欧州諸国は考える。
これに対して、日本の場合、状況はもっとお粗末だ。米軍との相互補完性を検討するにはほど遠い状況で、日本のRMA政策に至っては2000年12月にその基本概念が発表されたばかり。政策レベルの検討はこれからだ。
ブッシュ政権内では、シンガポール、オーストラリア、韓国の軍隊の方が日本の自衛隊よりRMAへの対応が進んでいるとの評価さえある。これでは同盟国として米国を牽制する能力は日本に期待し難い。RMAは対米牽制策としても認識されるべきではないか。
また、ブッシュ政権の安保政策関係者たちは、日本経済不況が日本の防衛力、ひいては日中間のパワーバランスや日米同盟にもやがて深刻な影響を及ぼしかねない、との懸念を深めている。ブッシュ大統領は訪日の際、日本経済問題に焦点をあてる予定である。
「日本経済の改善は米国の国益にとって死活的に重要だ」――ジェームス・ケリー米国務省東アジア太平洋地域担当国務次官補もこう断言する。日本の経済力回復と防衛計画大綱の見直しはもはや日本国内だけの問題ではない。
日本の行末は日米同盟の将来をも左右する。それはアジア太平洋地域全体にも深刻な影響を及ぼす国際問題でもある。米国の単独行動を牽制し、アジア太平洋地域を安定させることができるか?
日本にとって国内問題を解決することは国際的な責務でもある。
(モントレー国際問題研究所主任研究員)