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(2001年12月18日付)
「選択的マルチラテラリズム(多国間主義)」――。ジョージタウン大学のロバート・リエーベル教授は、9月11日以降のブッシュ政権の外交政策の特徴をこう指摘する。世界での米国の優位性を維持するために最低限必要な範囲内でのみユニラテラリズム(一国至上主義)を活用、それ以外では基本的に多国間主義に依拠する。
国連総会では日本提案の核廃絶決議案に反対票を投じ、生物兵器禁止条約の運用会議では多国間交渉を決裂させ、弾道弾迎撃ミサイル制限条約からは一方的離脱の方針を表明。何とも身勝手な話ばかりであるが、これにはすべて共和党右派が深く絡んでいる。
もとより彼らの中には、国際機関及び条約に対する根強い不信感がある。現在、タリバン政権の崩壊を受けて、右派が外交政策で巻き返している。
国防総省などを中心に共和党右派では、「イラク攻撃に移ろう」との機運が早くも高まっている。ただし、それだけでは「米国対イスラム」の印象が露骨になりかねない。そこで非イスラム諸国の中で非難できる格好のターゲットとして北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)が浮上してきた構図だ。ジョン・ボルトン国務次官は、北朝鮮を生物兵器禁止条約の違反国として、米国政府として初めて名指しで非難した。
しかし、このような米国の方針は同盟国に少なからぬ不安と脅威を与えている。韓国では、もっぱら米国は北朝鮮への軍事作戦を企んでいるとの見方が広まっている。日本の防衛庁の中でさえ、「これは単なる脅しだけではない可能性が高い」との見方がある。
ジョージタウン大学のビクター・チャ助教授はブッシュ政権の対北朝鮮政策を「タカ派的関与政策」と呼ぶ。
米国務省の方針は「北朝鮮とはいつでもどこでも無条件で話し合おう」というもの。「ボールは北朝鮮側にある」。しかし北朝鮮にとってこの提案を受け入れると、「自国のプライドを捨てて自らの弱さを見せびらかしてしまうので、かえって交渉に入りづらくなってしまっている」(ハン・ソンジュ元韓国外務大臣)。
日本側にも、「見返りなしでは、無条件といっても北朝鮮を話し合いに引きずり込むのは困難」との見方がある。米朝交渉がはじまらなければ日朝交渉の見込みも無い。日韓ともに米国に言いたいことはあるのだが、「米国があれだけのテロ攻撃を受けた直後なので、面と向かって言いたいこともなかなか言い出しにくい雰囲気がある」。
しかし、北朝鮮は日米韓に無視され続ける状況は許さないだろう。「金正日は映画監督のように常に舞台を仕切ることを好む。彼の方から何らかの劇的な仕掛けを打ってくる可能性が高い」(ウェンディー・シャーマン前米国務省北朝鮮政策調整担当特務大使)。
現在、北朝鮮は軍事力を着実に強化している。最近ではミサイルのジェットエンジン・テストさえ確認されている。98年のテポドン・ショックの二の舞いを避けるためにも、早急な外交的対処が不可欠だ。
そのためにも、まずは日本国内で外務・防衛・警察が対北朝鮮政策でより緊密な協調関係を早急に構築することが求められる。そして日韓関係を改善させ、現在の日米韓の局長レベル政策調整会議をレベルアップして次官・閣僚レベル戦略協議を開催するべきであろう。
もはや日韓は歴史問題で対立しあっている場合ではない。朝鮮半島を覆う霧は日に日に濃くなりつつある。
(米国・外交問題評議会研究員)