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(2001年9月18日付)
本来、9月はサンフランシスコ(日米講和)条約締結50周年記念行事が多数予定されていた。しかし、11日の米国へのテロ攻撃によってすっかりそれどころではなくなってしまった。
今回の米国テロ事件に対する対応は、日米同盟の今後にとっても極めて重要な試金石となりそうだ。もし日本が対応を誤るようなことにでもなれば、湾岸戦争の際の外交大失敗の二の舞いにさえなりかねない。今や日米同盟に必要とされているのはセレモニー(儀式)ではなくアクション(行動)となっている。
9月11日の米国へのテロ攻撃での推定死亡者数は少なくとも5000人を上回る。米国ホワイトハウス筋の情報によれば、被害規模から見ると日本はかなり上位に位置するだろうとのことだ。世界貿易センタービルには31もの数の日本企業の支店事務所が入っていた。ここを訪れる日本人旅行者も通常かなり多数にのぼっていた。
さらに、ハイジャックされた上で破壊された4機の旅客機は、ボストン、ニューヨーク、ワシントンからロサンゼルスまたはサンフランシスコに行く便であったが、これは普通、数多くの日本人旅行者が米国東海岸から日本に帰国する際に頻繁に使用する便だ。
今回の事件が「アメリカ1国ではなく日本そして国際社会に対するテロ攻撃」とまで評される所以である。現在、このテロ攻撃に対して、米国だけではなく他の諸国も協力するかたちで国際的な対応措置が検討されようとしている。日本も米国と幅広くテロ対策に関する協議を開始し、両政府間では国境を越えた緊密な協力体制が整備されつつある。
他方、日本国内でも日米同盟が試されよう。そもそも日本の安全対策は大丈夫であろうか? 米軍基地周辺の警備強化策などがとられているが、爆弾や軍用機関銃、または生物化学兵器によるテロを想定した対策となっているのか? ちなみに核兵器による攻撃や原子力発電所が攻撃された際に使用する中性子対応型機動車は日本国内に1台もない。
また、日本国内有事の際の米軍との協力体制の詳細は詰められているのか? 自衛隊と米軍の間での明確な任務・役割分担は用意されているか?
残念ながら、日米防衛協力のためのガイドラインでも、周辺有事に関する対策はかなり進められてきたが、肝心の日本有事における日米防衛協力体制の検討は極めて遅れている。
「何とかしなければいけない」と皆が言いながら何もしない状態が続いてきたというのは、まさに9月11日午前9時に至るまでの米国のテロ対策に対する姿勢と酷似している。早急に日米間におけるシミュレーションを含めた対策と、有事法制などの関連法制整備が必須であろう。地方自治体からの協力確保も十分詰められなければならない。
さらに、これらの安全保障面での対策に加えて、国民の不安を煽らない社会対策も必須である。現在、米国ではアラブ系アメリカ人に対する嫌がらせや暴力行為が報道されている。テロを恐れるあまり、我々がテロリスト同様の行動をとるようなことがあっては決してならない。イスラム教徒やアラブ系人種を全員一括して「危険なイスラム教」と見てしまう偏見だけは避けなければならない。
米国のテレビでは今回のテロ攻撃との比較で、日本軍のパールハーバー奇襲攻撃がよく引用されているのはもうご存じであろう。日本人にとっては誠に嫌な話であるが、こちらで事件の初報を聞いた際に、「奇襲攻撃とはこういうことだったのか」としみじみと実感させられた。
サンフランシスコ条約締結50周年の記念として、今度こそ日本は名誉挽回しなければならない。
(米国・外交問題評議会研究員)