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世界情勢ウオッチ−国際法の視座から

(2004年11月2日付)


地球温暖化と京都議定書
露批准で発効へ、米・中の参加が課題


“異常気象”にみまわれた今夏

 先日、ある新聞社が実施した全国世論調査において、「将来の地球環境に不安を感じる」と答えた人の割合が9割を超えたという。そして、環境の変化で、日ごろ特に不安を感じているもののトップが、いわゆる「地球温暖化」であった。

 この夏の記録的な猛暑や過去最多となった台風の上陸、また昨年の欧州での熱波や中・北米への大型ハリケーンの襲来など、世界的な異常気象の広がりに不安を感じている人は決して少なくないはずだ。

 そのような中、ロシアは先月27日、下院に続いて上院も地球温暖化防止のための「京都議定書」の批准承認法案を賛成多数で可決した。批准書にプーチン大統領が署名すれば、議定書は明年2月にも発効し、温暖化防止に向けた国際的な取り組みがようやく本格化することになる。

 1997年12月に採択された京都議定書は、地球温暖化防止に対する国際的取り決めとして、二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの削減を各国に義務づけている。

 議定書の発効には、(1)55カ国以上の批准(2)批准した先進国のCO2排出量合計が基準年(1990年)の55%に達すること――が条件となっている。日本など124カ国と欧州連合(EU)がすでに批准しているが、2001年にCO2の最大排出国である米国が議定書から離脱を表明したため、(2)の条件に照らしてロシアの批准が発効の鍵となっていた。

大地は子孫からの借り物

 地球環境問題は、近代における科学技術の発展と人間社会の繁栄がもたらした負の遺産である。なかでも地球温暖化問題は深刻である。専門家による「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)がまとめた報告書によれば、このままいくと2100年には地球の平均気温は5・8度上昇するという。

 また、干ばつや豪雨などの異常気象の頻発、農業生産量の減少や熱帯性の感染症の拡大、海面上昇による島国の水没など深刻な影響が予測されている。国際社会は、1972年のストックホルム人間環境会議を転機に環境問題の重大性を認識、20年後の1992年にはブラジルで地球サミットが開かれ、「気候変動枠組条約」が締結された。京都議定書はそれを具体化するものである。

 環境問題の難しさは、環境保護と経済発展のジレンマにある。各国の経済発展や技術には差があるため、環境保護のための一律の規制は国によって成長を阻害することにもなるからである。

 ちなみに、わが国は、2008年から2012年の温室効果ガスの排出量を90年に比べて6%削減する義務を負っているが、目標の達成は困難な情勢にある。企業が温室効果ガスの排出量を市場で売買する、いわゆる「排出量取引制度」や「環境税」などが検討されているが、環境税導入には経済産業省や経済界が強く反対しており前途は厳しい。議定書が発効しても、中国や米国の参加をどうするのかという課題も残されている。

 ケニアに次のようなことわざがある。「地球を大切に使え。地球は親がくれたものではない。子供たちからの借り物なのである」。まさに世代を超えた問題として、国際社会全体が真摯に、この問題に向き合うことが、今求められているのではないだろうか。

 (創価大学教授)