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週刊誌クリティーク

連載コラム
「週刊誌クリティーク」

【44】


強硬論と慎重論に議論百出し二極化

(2001年10月9日付)

 世界一富める国と世界一貧しい国との戦端が、ついに開かれた。“ファイト・バック(やり返せ)”を合言葉に報復に突入する米国、対抗姿勢を崩さぬアフガン、流血の惨劇がまた繰り広げられるだろう。

 週刊誌の最新号はさらにヒートアップ(加熱)し、開戦秒読みとタリバンの内幕、危ない日本参戦…などの記事のオンパレードである。

 こうした危機のさいには、週刊誌の性格が露呈するもので『週刊現代』(10月13日号)では「米軍・自衛隊死者2万人」「埼玉にビンラーディン一派が潜伏」など根拠に乏しい粗雑な記事を並べるが、いたずらに不安感を煽る編集姿勢は厳に慎むべきだろう。

 残虐なテロ行為を憎むことでは一致しても、対応については強硬論、慎重論に二極化しているようだ。『サンデー毎日』(14日号)の「岩見隆夫のサンデー時評」では米国民の一体化と生活意識の変化を踏まえ、著名人の発言を集めている。

 「テロ集団は西欧的な価値への憎悪に動かされている」(キッシンジャー博士)、「イスラム原理主義は、幕末の尊王攘夷とみれば、分かりやすい」(解剖学者・養老孟司氏)、「人間の歴史、価値の破壊だ。許さぬ姿勢をアメリカと一緒に示せ」(石原慎太郎氏)、「報復をすれば新しいテロが世界に広がる。破壊力というパンドラの箱を開けるな。本当の勇気とは報復しないことだ」(音楽家・坂本龍一氏)、「日本も自分の足で立って、戦争に備えねばならぬ」(京大教授・中西輝政氏)、「日本には冷静さが肝心だ」(後藤田正晴氏)…。

 議論百出、それぞれに説得力を持つ。だが論争が尽きぬうちに戦火は燃え広がるだろう。そして無辜の人々が犠牲になるのだ。

(山本栄一・ジャーナリスト)