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(2001年6月26日付)
中学歴史教科書をめぐる余燼はいぜんくすぶり続け、日中、日韓交流の大きな障壁となっている。どこが問題なのか、打開の糸口はないのか。『サンデー毎日』(6月24日号)は教科書を編纂した「新しい歴史教科書をつくる会」と「反つくる会」の論客4人により12ページにわたる大論争を展開した。
「つくる会」の基本姿勢は、「戦時下の日本が全て悪いというこれまでの“自虐史観”を脱却し、関係諸国からの圧迫に屈せぬ独立心の確立を…」というものだが、「反つくる会」の姜尚中・東大教授は「その理念ならなぜ原爆投下をホロコースト(大量虐殺)と指弾し、日米安保、東京裁判を批判しないのか」と追及、しかし「つくる会」の坂本多加雄・学習院大教授は「原爆は戦争遂行のための戦争犯罪でナチのホロコーストとは別だ」とかわして論議はまったくかみ合わない。
「反つくる会」が「新教科書は戦争と侵略を免責にする物語にすぎない」といえば、片方は「残虐な日本兵というデマゴーグで子供に罪悪感をもたせるな」と譲らず、「慰安婦問題のどこに教育的効果があるのか」と反発を強めて、相互の歴史観のミゾの深さを浮き彫りにしている。
『週刊朝日』(同月29日号)の「いま子供たちに伝えたいこと」で、映画監督・山田洋次氏と対談した作家の大江健三郎氏は「新教科書の文体は感情的で政治的な意図も露骨、子供の心情の成育によくない」と厳しく裁断する。侵略責任への根本的認識と真撃な反省を示さぬ限り、中韓両国民の日本への憎悪感は絶えず再生産されるだろう。
(山本栄一・ジャーナリスト)