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(2001年6月12日付)
低すぎる名誉棄損賠償金の見直しを…の声が高まるなかで、『AERA』(6月4日号)の「名誉の値段が急騰中」の記事は、時宜をえたものと評価したい。
さまざまなメディアによる名誉棄損裁判の賠償金は長い間、不当に低く抑えられてきた。同誌によると、72年から10年間のデータでは勝訴しても最高額が150万円、一人当たりの平均はわずか45万円で、訴訟費用にも足りず披害者泣き寝入りの要因にもなっていた。
なぜ日本では“名誉の価値”が安いのか。「人格権の軽視」「報道の真実性や公益性にのみ重点を置き人権擁護が争点にならない」「額算定の基準がなく前例を準拠」…などが指摘されるが、虚偽記事をタレ流すメディアに対する国民の目の厳しさを背景に、最近では徐々にアップ、昨年、東京地裁での判決では一人平均210万円にまで引上げられている。
だがこれは見出しのような「急騰中」ではなく、「正常化へのワンステップ」と考えたい。人権に対する社会通念の高いアメリカでは、真否の確認もなく、ウソと知りつつ記事を掲載した場合など「懲罰的損害賠償」として数十億円もの賠償金が課せられることを、一部の常習メディアは深く銘記すべきだろう。
半面、公正で正確な記事は、高額賠償に委縮することなく堂々と主張するがいい。問題は報道の自由という、人権にも関わる「諸刃の剣」をいかに良識をもって振るうかにかかっている。
(山本栄一・ジャーナリスト)