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(2001年3月27日付)
「破局的経済状態」「森首相の耐えられない軽さ」など米ジャーナリズムの厳しい対日論調の続くなかで、『ニューズウィーク(日本版)』(三月二十八日号)は「サムライ打者のホットな挑戦」とイチローをめぐる七ページの特集を組み、アメリカ人ファンの期待を伝えた。百の親善使節よりも、一人の存在の果たす効果がいかに大きいか、如実に示している。
日本の生んだ天才的野球選手イチロー(本名・鈴木一朗、二十七歳)は、パ・リーグのオリックスから米大リーグのシアトル・マリナーズに移籍したが、「大リーグのユニフォームを着ることを夢に描いてきた。映画を見ているようだ」と自分でも語るほど、いま人生の絶好調を謳歌(おうか)している。むろん前途には多くの難関が待ち構えているだろうが、「今シーズンはイチローにかかっている」とチーム関係者は口を揃えていう。
同誌で野球評論家のシュルマン氏は「彼は新しい土地になじみ、英語も上手で素晴らしい順応ぶりだ。ただ大リーガーに比べ体が細いだけに、年間一六二試合に耐えられるかどうかに懸念もあるが、守備の堅さ、足の速さ、ボールに対する反応の良さが大活躍を予測させる」と称賛を惜しまない。
「イチロー効果」は早くもチーム財政やシアトルの観光業界を潤し、イチロー・グッズの売行きはチーム全体の一〇%に達している。
日本からの観光客も昨年は十万五千人に倍増、外国人客の二〇%を占めた。「観光業界の希望の星」と呼ばれるのも当然だ。
選手の大型化と球場の小型化が米野球界の風潮になり、ホームランで勝敗が決まるような試合が目立つが、そうなる以前の高度な技術がぶつかり合う野球の面白さ…「本来の野球の魅力を、日本の小さな巨人が再現してくれることを」と願うのはコラムニストのウイル氏だ。佐々木主浩投手ともども“日本の男”の真価を発揮してもらいたい。
(山本栄一・ジャーナリスト)