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(2000年10月31日付)
騒然たる国際情勢をよそに、この国の週刊誌は、読者の低俗な興味を刺激し、増幅 させる記事の競作に奔走しているようだが、しかし、『ニューズ・ウイーク(日本 版)』は誌名どおり、アップ・トゥ・デート(最新)の世界のニュースを盛り込み、 “実(みのり)ある”誌面作りを行っている。
最近の同誌が積極的に取り上げているのが、イスラエルとアラブ対立をめぐる中東 問題で、「中東和平の絶望的状況」(十月十八日号)、「戦争の影・中東危機」(同 二十五日号)、「停戦合意でも止まらぬ流血」(十一月一日号)と、深刻な情勢を詳 細に報道し、世界の耳目を集めている。とくに最新号では「憎悪と怒りの暴走は止ま りを知らない。イスラエルは事態の泥沼化にそなえ、取引材料に使うため、パレスチ ナ自治区の再占領を計画、全面戦争への危険性も否定できない」とまで警告してい る。
日本の週刊誌も、スポーツ界や芸能界のスキャンダルといった記事ばかりでなく、 たまには中東ルポなど、シリアスなテーマの取り組みもどうだろうか。
現在、地球上で発生している約五十の民族、領土紛争の代表が中東情勢だが、この 流血の連鎖を断ち切ることは本当に絶望的なのだろうか。もはや和平への道は閉ざさ れてしまったのか。
世界的なバイオリニスト、ユーディー・メニューインもまたユダヤ人だが、池田創 価学会名誉会長との対談を通じて、人間主義の根底にある「大乗仏教」に深い関心を 示し、イスラエルに招かれた際、こう国民に訴えた。
「ユダヤ人、パレスチナ人が、互いの中に人間としてのかけがえのない“尊厳性” を見いだし、それを認め合うところから真の対話、解決への一歩が生まれる。互いの 立場に立った互譲も可能になる。これ以外、どんな対策があるだろう」…この二十一 世紀へ向けての知性の言葉を忘れたくない。
(山本栄一・ジャーナリスト)