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週刊誌クリティーク

連載コラム
「週刊誌クリティーク」

【18】


読み応えあった『YW』「カラス大全」の企画記事

(2000年9月26日付)


 猛暑の後遺症か、夏枯れ記事の多いこのところの週刊誌だが、読み応えのあったのが、『YW(Yomiuri Weekly)』九月二十四日号の「カラス大全」。市民生活の領域を脅かすカラスをめぐる特集で、“カラス学”の蘊蓄(うんちく)を傾けた興味深い企画記事である。

 この悪名高い鳥の脳の重さは十グラム、ニワトリの約三倍という。しかも脳細胞の密度が濃く、大脳皮質の神経繊維が四〜五層を形成し、情報処理には脳層がしっかりと役割分担を果たすといわれる。

 宇都宮大学の杉田昭栄教授のテストではカラスは日本人と外国人、丸顔とやせ顔など人間の顔の識別能力を備え、図形、色彩の見分けは朝飯前で、「鳥類の霊長類」といわれるゆえんでもある。

 ニューカレドニアでは植物の葉を細長くして道具にし、樹(き)の穴の虫を上手にとるが、長野市の一地区のハシボソカラスはエサを隠す場所を百十四カ所も持ち、腐りやすい順番に取り出して食べるというから驚く。

 鳥類学者は「石器時代の人類と同程度のレベル」とみるが、繁殖率も高く、東京の場合、一九九〇年に一万羽だったカラスは、今年の一月時点で二万二千羽(都市鳥研究所調査)。東京には天敵のワシやタカがいず、生ゴミという食料も豊富だから「安全居住・快適グルメ」で、かれらも高齢鳥化しているのだ。

 都鳥獣保護係は一日十件ものカラス害の苦情を受けるという。子育ての頃、巣の下を通ると、頭上をかすめて威嚇したりつついたりする。襲われぬためには“弱さを見せず甘やかさず”が肝要と、同誌は警告する。

 一九六九年四月、筆者たちの登山隊はエベレストのベースキャンプ(五三六〇メートル)に入ったが、食料テントからしばしば缶詰が盗まれた。カラスの仕業だったが、どのように中身を食べるのかはナゾで、「缶切りを持っているのか」と笑ったものだ。だが缶詰どころか金庫さえ開けるかもしれない。

 (山本栄一・ジャーナリスト)