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(2000年6月13日付)
少年による凶悪犯罪続発の波紋で、最近の各週刊誌は一様に「犯罪少年に重罪を」 と主張、『週刊新潮』(六月十五日号)にいたっては栃木県の少年リンチを取り上げ て、「犯人の少年を死刑にしないなら、警官の父親の実名公表を」と迫っている。国 会でも、刑事処分対象年齢の引き下げ……などの少年法改正案が提出され(審議未了 で廃案)、“未成年者への厳罰主義”の声はどうやら風潮化しているようだ。
そうした渦中にあって『ニューズウイーク』(日本版、六月十四日号)のメリー・ ホワイト・ボストン大学教授の「少年犯には闇より光を」の論文は、まことに冷静で 感情に流されず、説得力に富んでいる。
銃乱射など少年凶悪犯罪の多発に悩むアメリカでも厳罰化の世論が高まり、カリフ ォルニア州では十四歳以上なら今後、一般の刑務所に収監する法案が住民投票で成立 したという。しかし「少年犯を成人の犯罪者と同様に罰することだけが唯一の犯罪抑 止手段か」というのが同教授の論調だ。
アメリカも少年院・少年拘置所への収容は増加の一途だが、社会に戻ってからの再 犯率は極めて高いといわれる。「刑務所という“闇”の中で少年たちが成長すること はない。たんに年を重ねるだけだ」という指摘は正鵠(せいこく)を射ていよう。そ してボストンの少年収容施設の実例を引き、「行動規範が明確な環境で教育と心理療 法を与えれば犯罪防止、更生指導は可能だ」と断言するのである。彼らを隔離して社 会の安全を図るのではなく、むしろ社会に取り込み更生の“光”を投げかけよという 逆の発想だ。
殺人容疑で三十四年間も収監され冤罪(えんざい)で釈放された免田栄さんも、 「私の実感では、刑務所は社会のゴミ捨て場でしかない。犯罪者は罰すればいいとい う方針では犯行は絶対に減らない」(『潮』九九年十二月号)と語っている。厳罰か 温情か、深刻な社会病理にいま解答が求められている。
(山本栄一・ジャーナリスト)