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(2000年3月28日付)
『サンデー毎日』が、三週連続で東大教授の研究費をめぐる疑惑を追及している。 「院生名義の通帳利用・東大教授の錬金術」(三月十九日号)を手始めに「パクリ特 許、論文盗用…」(二十六日号)とさらに筆鋒は激しくなる。
東大先端科学技術研究センター教授・軽部征夫氏が自分の研究室に所属する大学院 生たちの銀行預金口座、印鑑を勝手に作って管理し、公費や民間企業の寄付などの研 究費をこれらの口座に払い込ませては、自己の裁量で使用していたというもので、日 本のバイオ技術の最先端に立つ学者の行為にしては、「まことに不明朗」というのが 同誌の主張だ。
人間の遺伝子配列を調べるゲノムチップの研究など、最も関心を持たれる研究機関 だけに、一億五千万円もの研究費が導入され、一部は交通費や研究協力費として院生 あてに払い込まれることもある。しかし正規には当該者の申請書や確認が必要で、今 度の場合、軽部教授の恣意(しい)で処理された特権的な対応ぶりが指摘されること になろう。
さらには院生の研究論文を元に行われる特許申請、権利放棄の強制、盗作など研究 室をめぐる暗部も表面化し、かつての“象牙の塔”の亡霊がまたぞろ顔をのぞかせた 感さえある。
一九六〇年から七〇年にかけての学園闘争は、学問の府での封建体制の打破が目的 で、それなりの成果が期待されたが、雇主と徒弟制度のような体質は簡単には消滅し ないものらしい。問題は参議院文教委でも取り上げられたが、「東大内部での甘い調 査には疑問が残る」(四月二日号)という同誌の見方は当然だろう。だがなにより残 念なのは、教師と学生との“信頼と尊敬”という絆が弊履(へいり)のように軽視さ れ、日本を代表する最高の研究機関でも、カネという権力が大手を振って闊歩してい るという現実ではあるまいか。 (山本栄一・ジャーナリスト)