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(2000年1月9日付)
ミレニアム異変というべきか、人権侵害週刊誌の双璧(そうへき)、『週刊新潮』 と『週刊文春』が新年特大号(文春は十二月三十日号)ではともに慎重派に変身、 『朝日新聞』『週刊朝日』の雅子さま“ご懐妊”報道をめぐる物書きの署名原稿を並 べ、朝日の無神経、無責任な先走り記事が皇太子妃のプライバシーを傷つけたと非難 した。この姿勢やよし。今後は多少なりと人権路線の回復を望みたい。
それにしても朝日の無節度ぶりには驚かされる。
十二月十日の新聞朝刊トップで「懐妊の兆候」と打ち出し、『週刊朝日』(二十四 日号)は、これを増幅させ、雅子さまの生理、基礎体温といったごくプライベートな 問題にまで言及、「ベビーは十一月前半ごろ結実した…場所は熊本のホテルで一泊十 八万円の、ダブルベッドの部屋か」などという低俗記事にまで発展させた。もし銀行 に倒産の兆候…などと書けばどんな波紋を招くかいうまでもない。まして皇室の根幹 にかかわる重大事についての、確たる裏付けもない暴走は厳しいクリティーク(批 判)にさらされてもしかたあるまい。
宮内庁の「懐妊確認できず」との発表後も、『週刊朝日』の新年増大合併号では、 反省どころか臆面もなく「雅子さまお元気ですか」の見出しで、「今はデリケートな 時期で体調が心配」と開き直った。朝日は「国民の要望する速報」と強弁するが、結 果はお気の毒な流産に終わる。皇室という公人への対応は以後、規制や協定というメ ディアヘの首枷(かせ)が強化されることになろう。火ダネとなった朝日の責任はけ っして小さくない。 (山本栄一・ジャーナリスト)