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連載コラム
「週刊誌ウォッチ・ドッグ」

週刊誌ウォッチ・ドッグ

【48】



ダイオキシン報道の罪

不安あおり“売らんかな”狙う

(1998年12月12日付)



 十数年前、チェルノブイリ原発が大爆発を起こしたとき、日本にもその影響がおよび、市民の間に不安が広がったことがある。とりわけ、母乳に放射性物質が蓄積、濃縮されるという説が喧伝されて、子育て中の母親たちがパニック状態におちいり、原発反対を訴えてあちこちの原発に押しかけるという事態まで引き起こした。その責任の大半は、いたずらに市民の不安をあおりたてたマスコミにあったというべきだろう。

 売り上げを伸ばすためにはなりふりかまわないマスコミのこのような手法は、けっして容認できるものではないが、現在でもちらほら散見される手法でもある。たとえば、『週刊読売』の「母乳からダイオキシン/妊娠前に食べてはいけないモノ」という記事などもその一つといえよう。

 東京都の調べによると、乳児が一日に飲む母乳に含まれるダイオキシンの量は、厚生省が定める耐容摂取量(一生摂取し続けても健康に害のない一日あたりの限度量)の六倍以上だという。この調査結果を受けて、記事は次のように書いている。「許容量の6倍ものダイオキシンを赤ちゃんが毎日摂取しているとは、何ともショッキングな話。しかし、これは東京に限ったことではない。厚生省が97年度に4都道府県で行った調査でも、平均で6―7倍という結果が出ている。/しかも、それさえ控え目な数値かもしれない。(略)とんでもない数値だ。やっぱり、母乳をやめてミルクにした方が安全なのだろうか」

 こんな記事を読めば、子育て中の母親ならずとも不安になって当然だろう。が、そこが週刊誌のツケメなのだ。だまされてはいけない。この記事には「母乳はどんどん飲んでいい」という専門家のコメントも紹介されていて、ちゃんと逃げがうたれているのだ。「バカバカしくて、読んでいられない」というのが、まともな読者の反応だろう。

(玉木明・評論家)