

(1998年11月28日付)
週刊誌を読む人には、いま話題になっていることを知らないと世の中に遅れるのではないかという、無意識の不安があるにちがいない。おそらく、その不安感が週刊誌を買わせるのだ。それは情報社会における一種の情報中毒の症状だともいえよう。
いま流行のインターネットも同じだろう。たぶん、多くの人がインターネットにはまってしまうのも、新しい情報をトコトン手に入れたいという脅迫観念があるからにちがいない。一度その情報中毒にかかってしまうと、なかなか抜け出せないから問題なのだ。
そのことに目を向けた『サンデー毎日』の「インターネットをやるとバカになる」という記事が面白かった。「脳」の第一人者、養老孟司北里大学教授の次のようなコメントは、いささかショックだった。
「インターネットをやるせいで、ほかの創造的な時間が奪われてしまう。機械は結果の決まっていることだから、そればっかりやっていると融通がきかない人間になる。予想外の環境に置かれて調整する必要がないからね。自分の頭で考えないようではバカになって当たり前」
インターネットやEメールをはじめたら、毎日、何度かパソコンの前に座らなければならない。私はその義務感にしばられるのがおっくうなのだ。便利なことはわかっていても、なかなか手が出せないでいるのもそのためだ。
第一、私はそれほど情報の不足を感じてもいない。だから、土屋賢二お茶の水女子大教授の次のようなコメントには共感する。
「単に情報を持つことが重要だと思っているならロボットと同じ。何が自分のためになるかは情報からは得られない」
情報社会では、情報を切り捨てることも必要だろう。いまの週刊誌の情報などは、ほとんどが切り捨てていっこうにかまわないものばかりだ。読者が情報中毒から抜け出せば、週刊誌も変わらざるをえないだろう。
(玉木明・評論家)