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連載コラム
「週刊誌ウォッチ・ドッグ」

週刊誌ウォッチ・ドッグ

【35】



またぞろ怪しげな予想

推理重ねた論理のまやかし

(1998年9月12日付)



 さまざまなメディアが、これでもかと経済危機をあおりたてるので、ますます先行き不安がつのるばかりだ。とりわけ、週刊誌の怪しげな予想記事には要注意である。

 またしても、『週刊現代』が「世界恐慌で連鎖大破綻(はたん)!」という、おどろおどろしい記事をぶち上げている。簡単にいってしまえば、いよいよ九月には株価が一二〇〇〇円を割り込み、銀行、商社、流通、ゼネコン……の「大パニック」が始まるというのだ。

 これは、以前この欄(八月二十九日)で批判した「次はモンスター台風襲来だ」という記事とまったく変わっていない。そこには、推理のうえに推理を重ねた論理のまやかしが含まれている。証拠を挙げてみよう。

 「日本で金融不安が解決できず、中国で人民元の切り下げ、ロシアは経済システムそのものが崩壊、“最後の砦(とりで)”アメリカもバブルがはじける。九月、恐慌の『負の連鎖』がいよいよ始まった」

 ここでは日本、中国、ロシア、アメリカが最悪の状態に陥った場合が想定されている。が、そうなるかもしれないし、そうならないかもしれない。いずれの国もそうならないように、さまざまな手を打つはずだ。この記事には、そのことがすっぽりとぬけ落ちている。要するに、この記事が何の根拠もない推論にすぎないということを示していよう。

 それにくらべれば、まったく逆の読みをしている『サンデー毎日』の「『長銀破綻で恐慌』は大ウソ」のほうがまだましだ。そう主張する根拠が、それなりに示されているからだ。「長銀が破綻すると世界恐慌になる」というのは、政府が税金を投入するための理由づけにすぎないというのである。

 「山一や拓銀が倒れて、世界恐慌になりましたか」という経済学者の言葉には、それなりの説得力がある。経済、金融のことは、素人にはわかりにくいが、いたずらに付和雷同しないことだ。

(玉木明・評論家)