

(1998年7月18日付)
新聞の選挙予測は、ほぼ正確だと思っていたが、今回の参院選にかぎっては大きくはずれた。自民党獲得議席の最終予測が朝日(五九)、毎日(六一)、読売(六〇)、産経(六二)だったのだから、弁解の余地はない。
ある週刊誌は、某紙選挙担当者の次のようなコメントを紹介している。
「敗因は投票率の読み違いに尽きます。多くの社が四五%前後と見ていたのに、五八%まで上がってしまった」
その一〇数%の投票率の上昇が、決定的に大きな意味をもったというわけだ。その無党派層の票が他の党、とりわけ民主党に多く流れたが、どの新聞もその動向をつかんでいなかったということになろう。
もっとも、予測がはずれたのは新聞だけではなかったようだ。かの“選挙の神様”といわれる自民党の竹下登元首相も、当日までは「六一議席は行く」と読んでいたという。いっぽうの民主党にしても、今回の勝利は予想外のできごとだったという。別の週刊誌は、民主党担当記者の次のようなコメントを紹介している。
「当初は、伸び悩みを予想していたくらいで、結果が悪ければ、羽田さんが人身御供になって、責任を取る形で幹事長を辞任することまで決まっていたんです」
民主党にしてみれば、うれしい誤算だということになるが、逆にいえば、それは自民党への不満票が民主党に流れただけで、かならずしも民主党が信用された結果ではないということを示してもいよう。
それにしても、だれ一人、この流れを予見できなかったとは、なんともなさけないかぎりではないか。
まして、新聞の予測が大きくはずれたとなれば、新聞は信用できない、いたずらに選挙民を混乱させるだけだということにもなりかねない。
次回の選挙では、新聞はどう対応するのか。いずれにしても、その真価が問われることになろう。
(玉木明・評論家)