

(1998年6月27日付)
十九日の午後、日本中を駆け巡った「長銀と日債銀が合併」というニュースは、共同通信の特ダネだった。それが事実なら“大スクープ”となるところだったが、どうやらとんでもない誤報だったようだ。
きゅうきょ、長銀はその日の夜に記者会見を開き、「まったくの事実無根」とその報道を否定したが、経営危機に陥っていた長銀にとっては、その報道で致命傷といっていいような打撃を受け、現在も株価は一〇〇円を割り込んだままだ。なぜ、こういう事態になったのか。これは報道のあり方、その責任が問われてしかるべき場面であろう。
週刊誌がどこまで真相に迫ってくれるかを注目していたが、残念ながら、こちらの期待に応えてくれるような記事は、一つもなかった。ただ、『週刊文春』だけが、暗にその真相をほのめかすような記事を載せていただけだ。しょせん、週刊誌も“同じ穴のムジナ”ということになろう。
ともかくも、その『週刊文春』の記事には、「金融担当記者」と称する匿名の次のようなコメントが紹介されているのだ。
「共同のニュースソースは政治家といわれていますし、今回の長銀破綻劇は、完全に政治主導で進みました」
確かめようもない情報ではあるが、今後の金融政策、銀行政策を進めやすくするために、政治家筋からそのような情報が意図的に流された可能性は大いにありうる。ただ、そのようなリーク情報に対して、新聞がチェック機能を著しく欠いている点が問題なのだ。
おそらく、共同通信にかぎらず、このような情報を入手した場合、いまの新聞は例外なくそれを報道することになるにちがいない。
結果的に、新聞はその情報源の隠された意図に加担することになるのだ。今回の長銀問題は、その弱点をもろに晒(さら)しているケースのように思えてならない。その真相に迫れない週刊誌も、なさけないかぎりである。
(玉木明・評論家)