

(1998年6月13日付)
ゼネコン・不動産会社が金融機関から借りた借金を棒引きにするかわりに、金融機関には無税償還などの税制上の優遇処置をとるという不良債権処理案が急浮上している。いわば、血税を投じてゼネコン・不動産会社の借金を帳消しにしようというわけだ。「平成の徳政令」といわれる所以(ゆえん)である。
なぜ、そこまでしてゼネコン・不動産会社を救済しなければならないのか。そこには政府・自民党の裏事情もありそうだ。
『週刊読売』によれば、橋本首相はバーミンガム・サミットにおいて、今後二年間で不良債権を処理すると「国際公約」してきた。逆算して、七月参院選直後の臨時国会で法案を提出し、九九年度決算から実施したいというのが政府・自民党の意向だという。が、その背後には、七月の参院選をにらんだ作戦があるのは当然だろう。
建設・不動産業界で働く人は、全就業人口の一割に当たる約七百万人ともいわれる。いわば、自民党は「借金の棒引き」を餌(えさ)にして、その票を釣り上げようという作戦なのだ。『週刊読売』は、ある経済ジャーナリストの次のようなコメントを紹介している。
「自民党はこれ(借金棒引き)を参院選挙の目玉にする意向で、ひょっとするとひょうたんから駒で、徳政令が実現するかもしれません」。「ひょっとすると」というのは、自民党が勝利した場合のことだろう。そうなると、やはり気になるのは参院選の結果である。『週刊朝日』は、例のごとく、改選百二十六議席の行方を「大胆予測」しているが、それによると、自民党は大勝とはいえないまでも、若干議席を増やしそうな気配だ。自民党は「野党がだらしないから、負けるわけがない」と自信をもっているというのだ。野党もナメられたものである。
はたして、こんな形で選挙が行われ、こんな形で政策が決定されていいのだろうか。有権者は怒るべきである。
(玉木明・評論家)