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連載コラム
「週刊誌ウォッチ・ドッグ」

週刊誌ウォッチ・ドッグ

【15】



芸能人夫妻の離婚本

一番損したのは衝動買いした読者!?

(1998年4月18日付)



 郷ひろみの離婚劇を見ていると、芸能人と週刊誌、テレビのワイドショーが、切っても切れない関係にあることがよくわかる。芸能人のプライバシー(私生活)を暴くことによって、週刊誌は売れ、部数をのばし、ワイドショーは視聴率を上げる。逆に、芸能人は私生活をさらすことによって、衆目を一身に集め、ときには莫大(ばくだい)な金を手にする。

 ここではプライバシーが守られる権利ではなく、さながら商品のごとくにやり取りされる。しかも、ここでは離婚も結婚も、またあらゆるスキャンダルも、等しく商品になりうるのだ。まして、“理想の夫婦”といわれた郷ひろみ・友里恵夫妻の“寝耳に水”の離婚劇ともなればなおのことだろう。週刊誌が飛びつくのも無理はない。

 日ごろ芸能ネタには冷淡な新聞社系週刊誌はもとより、いちばんお堅(かた)い週刊誌とみられている『アエラ』までが、この話題を扱っていたのをみても、その関心の高さがうかがい知れよう。なかでも私の目を引いたのは、郷ひろみの浮気相手の女性を詮索(せんさく)した『女性自身』と『フォーカス』の記事だ。

 『女性自身』は、匿名ながら、複数の女性の存在を明かしている。が、郷自身が「私の浮気が離婚の原因」と認めているのだから、いまさら痛くも痒(かゆ)くもないだろう。

 『フォーカス』はいつものごとく、その女性の実名を出し、彼女のレオタード姿の写真まで掲載している。本来なら、プライバシーの侵害だが、彼女も芸能人のはしくれ、抗議するよりも名前と顔を売ったほうが得策だという計算も成り立つ。ここでは損得勘定が、すべてに優先するのだ。

 結局、誰(だれ)がいちばん得をしたのか。マスコミのおかげで、自分の告白本がベストセラーになった郷ひろみ自身と出版社。そして、いちばん損をしたのは誰か。商売上手に乗せられて、その本を衝動買いした読者。私にはそのように思えるが、いかがだろうか。

(玉木明・評論家)