

(1998年4月11日付)
選挙公約は、政治家と選挙民を結びつける命綱のようなものだ。当選後にその公約が守られなければ、支持者の反発をまねくのは当然だろう。巻原発(新潟県・巻町)問題がこじれた背景にも、この公約問題があった。
原発建設に賛成、反対の態度を明確にしないで当選した市議の多くが、当選後に建設推進に賛成し、その決議を通してしまったからだ。これでは選挙民が騙(だま)し討ちにあったようなものだ。決着をつけるために、住民投票が行われたのは周知のとおりである。
『サンデー毎日』が、末広真樹子参院議員(愛知選挙区)の公約問題を詳しく報じている。この問題も巻原発の場合と同質の問題を含んでいるだろう。
末広議員は九五年の参院選で「無党派」を全面に打ち出し、「愛知万博反対」を公約、約三十六万票を獲得して初当選した。ところが、昨年の十二月、「万博推進」をかかげる自民党に入党。しかも、後援会や支持者への相談や説明がまったくなかったという。元後援会長でさえ、次のようにいうのだ。
「『本物の無党派は私だけ』と胸を張ったのだから、裏切り以外の何ものでもありません。『自分の発言に責任を持たない』と政治家を批判した人間のすることではない」
モラルの問題もさることながら、もっとも重大なのは、「万博反対」を公約しておきながら、当選後に「万博推進」の自民党に鞍(くら)替えしたことだ。万博の是非はともかくとして、これでは支持者をペテンにかけたことになりはしないか。「辞職勧告運動」が高まっているのもうなずける。
末広議員を入党させた自民党も自民党だろう。どのような話し合いが行われたかはわからないが、おそらくは多数派工作の一環だろう。が、なにがなんでも議員数を多くしようというのでは、政党としての筋目が通らない。
なんともおそまつな茶番劇を見せられているようで、こちらが気恥ずかしくなる。
(玉木明・評論家)