

(1998年3月14日付)
すでに週刊誌上では、大蔵官僚の「接待疑惑」を追及している東京地検特捜部の捜査が、幕引きに向かっているという情報がとびかっている。それが本当なら、これほど国民をなめきった話もないだろう。
『週刊読売』は、そう推測する理由として、春の定期異動をあげている。現在、特捜部は七十人の捜査体制だが、そのうち四十人は各地からの応援検事。三月末にはもとに戻る予定だという。残りの三十人も、その半数近くが動く予定。それまでに白黒をつけたいが、それも残された日数からみて無理。捜査の終結は避けられない事態だという。
また、『週刊朝日』は、検察内部に「局長クラスの幹部を立件するのはどんなものか」との「消極論」が強いと伝えている。もともと検察は、脱税事件で国税庁との結びつきが深い。これ以上の深追いは、得策ではないというのが検察側の意向だという。
すでに「検察と大蔵の手打ちがなされた」と、既成事実のように報じているのは『週刊ポスト』。背景に金融監督庁や国税庁の長官ポストをめぐって、大蔵省と検察側との間で綱引きがあり、今回のキャリア組逮捕と金融監督庁長官ポストとひきかえに捜査を打ち切るというのが、「大蔵・検察双方のギリギリの妥協線だった」というのが、『週刊ポスト』の読みである。
もちろん、確証のある話ではないが、それなりに現実味をおびて聞こえるところがミソだ。特捜部の検事とはいえ、同じ官僚組織の一員。どんな裏取引があっても、けっしておかしくはないだろう。が、それでは検察(司法)の筋目が通らない。
それをチェックするのはジャーナリズムの役目だが、検察の非公式のリーク情報に頼りきっている日本の新聞、週刊誌では、何の役にも立たない。結局、いざというときは、誰も筋目を通さない、通せないということになる。それがいちばん問題のところだ。
(玉木明・評論家)