

(1998年2月21日付)
わが家の娘が久しぶりに開かれた小学校のクラス会から帰ってきて、「本当にヤバイんだよ」と、興奮しながら話していたことがある。そのクラス会で話題になったのが覚せい剤のこと。しかも、かなりの数の同級生がその経験者だというのだ。
いま、覚せい剤がはやっていることは知っていたが、まさか自分の子どもの身辺にまで忍び寄ってきているとは思ってもみなかった。親としては〈わが子にかぎって〉という思いがあるのは当然だが、その反面、〈まかり間違えばうちの子も……〉と思い、背筋の寒くなったのも事実。なんとも深刻な事態だということを思い知らされた。
先週につづき今週も、『週刊現代』『週刊女性』『女性自身』が、覚せい剤所持で逮捕された高校生の母親・某有名女優の子育てを批判しているが、これは単に子育ての問題だけではないし、一人の親をスケープゴートにしてすむ問題でもない。すべての親と子が自分のこととして考える問題だろう。これらの記事には、その観点が欠落しているのだ。
参考になったのは、『週刊朝日』の「息子と娘たちのドラッグ汚染」という記事。「有名人のボンボンと不良生徒の暴走と思うなかれ」と警告を発し、その汚染の実態を詳しく報告している。それによると、最近は覚せい剤乱用者の低年齢化が目立ち、補導された高校生は五年前の五・六倍、中学生は五年前の三倍という激増ぶり。もちろん、この数字はほんの氷山の一角で、裾野はどこまで広がっているかわからない。
この記事は「まず覚せい剤に関する正確な知識を教えることが第一」と専門家の言葉を紹介している。そのためには、親が覚せい剤について十分な知識をもっていなければならない。週刊誌も、親の子育てを批判する暇があったら、覚せい剤の恐ろしさを知らせる記事をもっと書いたらどうか。そのほうがどれだけ世の親のためになるかわからない。
(玉木明・評論家)