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連載コラム
「週刊誌ウォッチ・ドッグ」

週刊誌ウォッチ・ドッグ

【2】



クリントン夫妻のダンス写真

――<やらせ>っぽくても掲載した新潮――

(1998年1月17日付)



 メディアには、さまざまな情報が洪水のように流れ込む。なかにはその効果を計算して意図的に流されてくる情報もある。いかに情報に習熟しているジャーナリストといえども、それを見分けるのは至難の技だ。

 水着姿で恥ずかし気もなく抱き合い、ダンスをしているクリントン大統領とヒラリー夫人の写真もその一つだろう。カリブ海バージン諸島でバカンスを楽しんでいるところを、通信社のカメラマンに“隠し撮り”されたというのがその写真だ。

 大統領は記者団に「私たちのプライバシーが侵害されたのは間違いない」と語っているが、盗撮されたにしてはできすぎ。これ見よがしにダンスをしている構図も不自然だ。

 「これは女性問題が後を絶たない大統領がイメージアップのためにわざと撮らせた」と勘ぐられるのも当然だ。たぶん、その勘ぐりはかなり的を射ている気がするが、真偽のほどは確認のしようがない。それがミソなのだ。

 このような情報(写真)が入った場合、メディアの側の対応は、次の二つに分かれる。

 @〈やらせ〉くさいので掲載しない。

 A〈やらせ〉くさくても掲載する。

 週刊誌の場合は、圧倒的にAが多い。ちなみに、この写真を掲載していたのは『フライデー』『週刊女性』『女性セブン』『週刊新潮』の四誌。写真誌や女性誌がこの写真を掲載するのはなんとなくわかる気がするが、あのこわもての『週刊新潮』までが、見開き二ページのグラビアで紹介しているのには恐れ入った。よほどネタがなかったのだろう。

 写真が掲載されてしまえば、撮られた経緯に関係なく、その写真のもつイメージが確実に読者に伝わる。結局、メディアは意図する、しないにかかわらず、大統領夫妻の「仲の良さ」をPRするのに手を貸していることになる。そこまでは計算ずみのはずだ。大統領のほうが、メディアより一枚も二枚も上手だということである。

(玉木明・評論家)