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ワシントンDC通信


連載コラム
「ワシントンDCの風」
辰巳由紀

【7】


米韓関係の今後と北朝鮮政策の行方
良好な日韓関係維持し米国と調整を

(2003年7月1日付)


 6月、北朝鮮の国営新聞であろう「労働新聞」は、北朝鮮が核兵器プログラムを有していることをはじめて公に認めた。さらに、米政府筋から日本政府に対し、北朝鮮がノドン・ミサイルに搭載可能な小型核弾頭を保有しているという情報も非公式に伝えられている。

 このような状況のなか、本稿を書いている今日(6月27日)、韓国の張国防大臣がラムズフェルド国防長官とワシントンで会談する。さらに今月の上旬には盧武鉉大統領の訪中も予定されている。

 今後の北朝鮮を取り巻く状況を見ていく上で一つの重要なポイントになるのは米韓関係の展開である。5月の盧大統領訪米をもっていったん、落ち着きを取り戻したかのように見える米韓関係であるが、国防総省による在韓米軍プレゼンスの見直しの行方とこれに対する韓国の今後の反応など、米韓同盟は、安定を取り戻したとは言いがたい状態にある。

 米韓の同盟関係の難しさは、北朝鮮という目の前の脅威に対応しつつ、東アジアにおける安全保障環境にも適応できるような同盟関係を形成していかなければいけないという点にある。

 朝鮮戦争後50年が経過した今、韓国軍の能力が大幅に向上していること、ある国防総省高官が「韓国軍は、現在、世界でも有数の能力、練度、および装備を持つ軍隊となった。彼らの能力が、在韓米軍にばかり関心が集まっているためにほとんど語られることがないのは非常に残念だ」と述べていることからも明らかである。

 この高官は、米韓の実務者レベルでは、在韓米軍配備の見直し、および、それに伴う米軍と韓国軍の任務分担の見直しに関する議論は金大中政権当時から始まっていたことも明らかにしている。

 それでも、この問題をめぐる議論が頻繁に報道されるようになった時期が、韓国内での反米感情が高まりつつあった時期と一致していたことにより、今回の在韓米軍配備を巡る動きには韓国内での反米感情の高まりに対する報復の意味合いがあるのではないかという疑問が常につきまとう結果となった。

 このため、「米国は北朝鮮との協議が行き詰まった場合、ソウルを犠牲にしてでも北朝鮮を武力で攻撃するのではないか」というまことしやかな憶測を呼んでいる。そして、それを是正するための目に見えるような努力は、これまでのところ米韓いずれの政府によっても行われていないのが現実である。

 このような中、米政府は、北朝鮮に対する圧力を一段と加える姿勢に出ている。6月中旬に行われた米日韓3者協議の場で、米国の強い姿勢に日韓が待ったをかけようとしたことは報道でも知られているし、国連安保理で北朝鮮非難決議を可決させるための外交努力も加速している。

 このような状況で、日本は韓国との良好な関係を維持しつつ、米国との緊密な関係も維持しなければならないという、非常に微妙な外交の舵取りを迫られる時期に入っている。外交当局者の手腕に期待したいところである。


 たつみ・ゆき 国際基督教大学卒。ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院(SAIS)で修士号取得後、在米日本大使館で専門調査員として勤務。2000年からヘンリー・L・スティムソン・センター研究員として、日本の外交・安全保障政策、北東アジア安全保障、日米安保、米国の北東アジア政策などについて研究した後、2001年から現職。