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(2001年11月6日付)
9月11日のテロ攻撃以来、アメリカの議会は、超党派で一貫してブッシュ政権の対テロリスト・キャンペーンを支持してきた。テロ直後には圧倒的多数で、ブッシュ政権に武力行使を容認する決議を行い、対テロに3千億ドル以上の予算を認める2002年度の国防予算も承認した。
アフガニスタンへの空爆開始後の10月7日には、超党派の議会指導者が連名で、ブッシュ政権のアフガニスタンへの軍事行動を強く支持するという声明をだした。そして炭疽菌テロへの不安が高まる中、10月11日と12日には、盗聴などのテロ活動の捜査へのFBIの権限を強くする反テロリズム法案を上下院でそれぞれ成立させた。
個人のプライバシーを守る立場からはこの法案には多くの懸念があったが、時限条項をいれたり、テロリストの容疑者の外国人の拘束を7日間に制限するなどの修正により、最終的に下院では357対66、上院では1人だけの反対で可決した。
アメリカの歴史を振り返ってみると、自国の安全と個人の自由の価値が対立するような場合、自国の安全を優先させるという現実的選択と同時に、緊急措置が長期的には個人の自由を奪わないような復元性をもたせ、民主的な国家運営を行ってきた。
例えばベトナム戦争において、政府と軍が、議会と世論の意向を無視して、泥沼の兵力投入に陥ったという苦い反省から、議会は1973年に戦争権限法という法律を成立させ、大統領の軍事力行使を制限する力を議会に与えている。議会がその権限を持つ宣戦布告なしに、大統領が軍に戦闘行為を命じた場合には、48時間以内に議会に報告し、60日以内に議会による法的承認がなければ、大統領は兵力を撤収しなくてはならない。
しかし、緊急な対応が必要な際に、議会が大統領の迅速な対応を過度に妨げれば、安全保障上取り返しのつかない損害を引き起こす可能性があるため、今回も含め、現在のところ、議会は大統領の戦争権限を尊重し、現実的に対処してきている。
日本でも、今回の対テロキャンペーンに限った2年の時限立法で、自衛隊による後方支援を可能にする対テロ法案が10月29日に参議院で可決、成立した。この法案における国会審議では、政府の自衛隊派遣を国会が「事前承認」にすべきか、「事後承認」にすべきかが、与野党の争点の一つとなった。
このような国会のチェック機能が国会の争点となること自体、神学論争に終始した55年体制の不毛なイデオロギー論争から抜け出した、日本の国家としての成熟への一歩として評価されるべき点である。最終的には国会の「事後承認」で法案は成立し、自衛隊派遣の命令後、20日以内に国会に承認を求めることになったが、逆に言えば、国会が反対すれば自動的に効力が消えるというものである。
これは2年で効力が切れる時限立法化とあいまって、十分に国会のチェック機能を担保している。現実的な観点からみれば、これ以上の国会の介入は、むしろ政府の迅速で効果的な反テロ対策を阻害し、民主的な国家運営にはかえってマイナスというのが、アメリカの例からも予測されることである。
(戦略国際問題研究所〈CSIS〉研究員)