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連載コラム
「米国メディア時評」

米国メディア時評

【22】



核配備の実態を明らかにした学者と科学雑誌

(1999年10月30日付)



 米国の軍縮問題研究家たちが「情報の自由」法をタテに、米国防総省がこれまで絶対に明かさなかった核兵器の存在を突き止め、その全容を科学雑誌『ザ・ブルティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスト』誌上で公表した。

 ご記憶の方も多いと思うが、核兵器の存在といえば、一九七四年十月、ラロック退役海軍少将が米下院小委員会で「日本に寄港する米艦船のほとんどは核兵器を積んでいる」と証言。日本国中が大騒ぎとなったことがある。

 日米マスコミは書き立て、国会は白熱した論議を繰り広げたが、結局「核兵器の存在については否定も肯定もしない」という米政府の厚い壁の前にうやむやになってしまった。それでも日本国民の九割は米艦船は今も核兵器を積んでいると信じている。

 だが、今回三人の研究者が八五年に「情報の自由」法をタテに申請、今年やっと解禁された機密文書によれば、冷戦の終結と同時に米艦船や飛行機からは核兵器が外されていることが判明した。

 つまりラロック証言は彼の体験に基づく虚像だったわけだ。疑惑のあった沖縄の核関連兵器についても六七年六月には完全撤去されていることも分かった。つまり日本の「非核三原則」は、きちんと守られていたのだ。

 今回の記事について『ニューヨーク・タイムズ』はじめ米メディアは、若干恥ずかしげに(?)それでも「米、一時期一万二千発の核兵器を二十数カ国に配備していた」などと報道していた。

 機密の壁に挑戦することこそジャーナリストたちの本来の仕事。それを学者たちにしてやられたという反省の念がありありだ。

 「メディアが現象面ばかりに目をとらわれていると、現代史の証人の座を学者たちに奪われてしまう」(コロンビア大学ジャーナリズム大学院、T・ゴールドスタイン学部長)

(高濱賛・在米ジャーナリスト)