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連載コラム
「米国メディア時評」

米国メディア時評

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ロス市警空前の不祥事にマスコミはどう対応したか

(1999年10月2日付)



 内部告発で火のついた神奈川県警の一連のスキャンダルはとどまるところを知らぬとい った感じだが、米ロサンゼルス市警の不祥事はスケールではその上をいっている。市警察 は大揺れに揺れている。

 市民社会論を南カリフォルニア大学で教えているE・チェムリンスキー教授に言わせれ ば、「警察という組織はその閉鎖性と自己保身という点では古今東西どこも同じ」という ことになるのだが。それにしてもロス市警の場合はあまりにもひどい。

 無抵抗のフィリピン系青年に警官二人が発砲、ひん死の重症を負わせた上、アリバイ作 りのためにその男の家に使用した銃をあたかも男の所有物のごとく置き去りにしていたの だ。しかも捜査段階ではこの青年が警官を襲ったかのような取り調べ調書をでっちあげて 、終始自分たちは正当防衛だったことを主張。

 男は一命はとりとめたものの半身麻痺のまま二十四年の禁固刑を言い渡されて服役中だ った。

 たまたまこの警官のうちの一人が署内に麻薬売人から没収し保管していた麻薬を盗み出 して売ろうとしたところを逮捕され、警察当局の調べに対し、減刑を条件にくだんの事件 についても自供。「警官の殺人未遂」がこの段階で明らかになったのだ。

 ロス市警といえば、ロドニー・キングという黒人が暴行を受けた事件などが発覚して「 暴力集団化」が問題になり、その後市を挙げて改善に取り組んできたはず。それだけに、 今回の事件が市民に与えたショックは計り知れない。

 しかも当事者が自供しなければ事件はヤミからヤミへとなりかねなかった。今のところ 部内でのもみ消し工作はなかったようだが、上層部もうすうす知っていたとの情報も。マ スコミは、「もう警察には任せられない。部外の市民代表機関による徹底究明をせよ」と 提唱、警官の犯罪を見過ごした「公器」としての自責の念に駆られた報道を連日くりひろ げている。

(高濱賛・在米ジャーナリスト)