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(1999年9月18日付)
終戦記念日をはさんで米カリフォルニア州では、州議会が旧日本軍が第二次対戦中に犯した戦争犯罪に対して日本政府の謝罪と補償を求めた決議案を採択したり、元米兵たちが「奴隷労働」を強いられた日本企業を相手取って訴訟を起こしたり、と急に対日批判が強まっている。
なぜ今ごろになって、という疑問に対して答えるなら、なんと言っても昨年末に州民事訴訟法改正で、第二次大戦中、ナチスや旧日本軍によって虐待(ぎゃくたい)されたりした戦争被害者が「時効」を超えて訴えられるようになったことが最大の理由だ。
当然、西海岸の主要新聞はこの一連の動きを報道した。とくに議会での決議案を出した日系三世のホンダ州下院議員の選挙区の新聞、『サンノゼ・マーキュリー・ニューズ』は極めて熱心で、その経緯(けいい)を詳しく報道。社説やコメンタリーでも「日本はこれまで謝罪したことがないのだから直ちに謝れ」といった論調が目立った。
一方、州最大の発行部数を誇る『ロサンゼルス・タイムズ』も一つ一つの出来事を克明に伝えたが、謝罪と補償についてはわざわざ別稿を設けてハコ組みで日本側の主張を紹介していた。そして、村山富市首相が九五年八月十五日に行った謝罪談話や戦後日本が二十七カ国に対して総額二百七十億ドルの賠償金を支払った明細記録を載せていた。
おそらく、米メディアが戦争犯罪問題をめぐって日本政府の主張をきちんと載せたのはこれが初めてだと思う。これを読んだ同僚の教授から「日本が謝罪し、補償もしているとはあれを読むまで知らなかった」と言われた。米国市民が日本の戦争責任を追及するのは勝手だ。だがこうした論議を報道する者は感情的にならずに、もっと冷静な取材と公平な報道を心掛けるべきだと思う。
一方的な情報をそのまま鵜(う)呑みにする「地方紙」と、どこまでも公平な報道に徹する「西の雄」。そこで働く記者や編集者の「質」の違いを目の当たりにしたような気がする。
(高濱賛・在米ジャーナリスト)