

(1999年7月3日付)
産業革命を超える画期的な先端技術の発展は将来メディアをどう変えていくのか。ジャーナリストはその激変するメディアの中でなにをせねばならないのか。
この問いかけに答えようとする米ジャーナリストたちの真剣な討論が各所で始まっている。「Committee of Concerned Journalists(現状を憂慮するジャーナリスト委員会)」という所属する会社や組織を度外視した横断的なジャーナリストの団体もその一つだ。旗揚げしてから二年、急速にその会員数を増やし、活発な勉強会や論文雑誌の発表で注目を集めている。
ハーバード大学ニーマン・フェロー財団のビル・コーヴァック氏の音頭取りで始まった同委員会の会員の中には作家のディビッド・ハルバースタムやベン・ブラッドリー(『ワシントン・ポスト』元編集主幹)らマスコミ界の錚々(そうそう)たるメンバーが名を連ねている。
この二年の間に会員は千二百人に膨(ふく)れ上がった。すでに全米各地で開いたシンポジウムやセミナーは二十回。そのテーマも「二十一世紀におけるクオリティ・ジャーナリズムとはなにか」「メディアにとってのアカウンタビリティ(説明責任)とはなにか」「オンラインにおけるメディア」「娯楽としてのニュース、ニュースとしての娯楽」と多岐(たき)にわたっている。
委員長のコーヴァックはこう言う。「みんな忙しさの中でこれじゃ、いけないと思っている。これじゃ駄目(だめ)だと思っている。変革するハードに対抗してソフト面でジャーナリストはなにをせねばならないのか、真剣な討議が続いている」
皆集まって論議しないと不安で仕方がないというのである。危機感を抱く者と抱かない者。その差はいつつくのだろうか。
(高濱賛・在米ジャーナリスト)