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連載コラム
「米国メディア時評」

米国メディア時評

【6】



プライバシー暴露は下劣な商業主義く

(1999年3月20日付)



 モニカ・スキャンダル報道から米国は何を学びとったのだろう。政治家のプライバシーを暴露することとその政治家の政治活動を監視することとの間にどんな関連があるのだろうか。

 異常といえばそれは異常な光景だった。下院議員の不倫報道の先鞭(せんべん)をつけた男性向け雑誌『ハスラー』のラリー・フリント社主が、今度は一般読者に一万レの賞金を出して上下両院議員の不倫疑惑情報を公募すると発表した記者会見に二百人を超える記者たちが詰めかけていた。

 次期下院議長に内定していたリビングストン議員の「不倫歴」を暴露すると脅して辞職に追いやったフリント氏。こんど入手した情報をもとに次々と「不倫議員」を発表すると大見えを切っていた。

 いかなる理由であれ、「情報をカネで買う」というのはジャーナリズムでは「禁じ手」だ。フリント氏の手口は「正義の味方」を装いながら、公人のプライバシーを暴露して雑誌を売ろうとする下劣な商業主義ではないか。それと知りつつ一般のメディアは「特落ち」を恐れて彼を追いかけた。気づいてみると、ジャーナリストとは言い難い人物がメディアをリードしていた。

 メリーランド大学ジャーナリズム大学院が発行する『アメリカン・ジャーナリズム・レビュー』(三月号)は特集を組み、「報道倫理基準のない、のぞき見趣味的な不倫疑惑報道がポリティカル・カルチャーに取り返しのつかないほどの損害を与えている」と警告した。

 米識者たちは異口同音にこう言い始めている。「公人の不倫行為が実際の政治活動に著しい影響を及ぼしていることを立証できない限り、メディアにはそれを暴露する権利などない」

(高濱賛・在米ジャーナリスト)