

(1999年2月6日付)
「なぜ彼らだけが『社会正義』を独占する権利があるのか」――系列化する米マスコミの経営・報道姿勢の監視役を買って出た熱血弁護士が月刊誌『ブリルズ・コンテント』を創刊してからはや六カ月。
〈クリントン大統領のセックス・スキャンダル報道はスター独立検察官周辺のリーク(違法漏えい)だけを頼りにした低級な報道〉とマスコミと検察官側を激しく批判した創刊号以来、その矛先は権力化した大新聞、テレビ局ととどまるところを知らない。
同誌の社長兼主筆はスティーブン・ブリル氏(49)。弁護士資格をとると同時に独自で法曹界を監視する雑誌を発刊、その後法廷内にテレビを持ち込み実況中継する番組を制作して巨万の富を得た。その余勢を買って次の標的に選んだのがマスコミだった。新聞、テレビ、雑誌を牛耳るオーナーの経営方針から編集局長、アンカーマン、一線記者の報道姿勢にいたるまで徹底調査、その欺まん性を糾弾しようという企てだ。
この雑誌を恐れているのはマスコミのトップだけではない。スター気取りのテレビ・アンカーマンからいんぎん無礼な大物記者まで戦々恐々なのだ。ニューヨーク・タイムズの名物医療記者の書いた記事を徹底検証してその誤りを指摘したのは第三号。テレビ各局アンカーマンの採点簿を作成したのは第四号といった具合である。当然、「現場の事情も知らずに勝手な批判ばかりする姿勢が鼻につく」(大物テレビ記者)と反発するものも出ている。が、発行部数はすでに二十五万部(目標は五十万部)。
「社会の木鐸」であることを忘れたマスコミへの監視の眼は鋭さを増している。
(高濱賛・在米ジャーナリスト)