

(1999年1月30日付)
三大テレビネットワークのアンカーマン(ニュース番組の総合司会者)たちが相次いで本を出し、それぞれベストセラーの上位を占めている。
その一人、NBCのトム・ブロコウ氏が書いた『ザ・グレイテスト・ジェネレーション』(偉大な世代)は発売と同時にベストセラーのトップに躍り出て以来、四週間トップの座を守っている。大恐慌のさなかに生まれ、第二次大戦に参戦し、復員後は米社会の各分野で活躍した四十八人にその半生を語らせる、読みごたえのある本だ。
一方ABCのピーター・ジェニング氏は二十世紀を振り返る『ザ・センチュリー』(今世紀)と題する六百竄ノ及ぶ写真入りの大作を著した。ライバルのCBSのダン・ラザー氏も負けてはいない。今春にはエッセー集を出す。
毎晩テレビ画面に登場し、「これが私が取材を指揮し編集した今日起こった出来事のすべてです」と自信を持って読み上げる(米国では偏ったコメントや無責任な捨てぜりふやジェスチャーはご法度だ)、超スケジュールのアンカーマン。彼らが今なぜ、競って本を書くのか。
「みんな本質的にはジャーナリストだ。電波パーソナリティーじゃないんだぞ、ということを立証したいんでしょう」(大手出版会社のP・オスナス社長)
それだけではあるまい。大学で記者としての倫理観を徹底的に学び、激しい競争の中で現場取材し、自らの報道哲学を体得しているからこそ、重厚な本が書けるのだろう。
(高濱賛・在米ジャーナリスト)