

(1999年1月16日付)
クリントン米大統領の弾劾(だんがい)手続きの舞台はいよいよ上院へと移った。というのに今回の事件の発端となったスクープ記事を書いたニューズウイーク誌、マイケル・アイスコフ記者の評価は今いちなのだ。
かつてウォーターゲイト事件をすっぱ抜き、“英雄記者”となったワシントン・ポストの二人の記者のような扱いは少なくとも受けていない。
なぜか。同記者に職業的正義感や名誉心だけでなく、記者の職分を超えた政治的陰謀があったのではないか、という疑惑がくすぶっているからだ。モニカ・ルインスキー嬢との私的電話を録音し、そのテープをスター独立検察官に持ち込んだ反クリントンのリンダ・トリップ氏や独立検察官のスタッフらと「共謀」してクリントン大統領の追い落としを計ったのではないのか、というわけだ。まさにヒラリー夫人のいうように「右翼分子の共同謀議」にこの記者は利用されたにすぎないというのだ。
『ボストン・グローブ』のコラムニスト、D・ナイハンなどは「アイスコフ、トリップ、(出版代理人の)ゴールドバーグ、スターらが接触しあう光景はまるでアーカンソーの豚小屋のように汚くて臭い」とまでこき下ろしている。
クリントン・スキャンダルをめぐっては米国民も議会も民主、共和両党に分かれて国論は二分。国民の大半は「マスコミのタブロイド化」にうんざりしている。火付け役のアイスコフ記者は目下スキャンダル・スクープにいたる経緯について執筆中。その本が出る夏頃にクリントン大統領はどうなっているのだろうか。
(高濱賛・在米ジャーナリスト)