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【米国の識者に聞く−インタビュー2003】


マイケル・トゥルー博士(平和学者)に聞く

(2003年12月16日付)



SGIの展示活動を学識者が評価


「平和の文化」を人類の指標に!


 SGI(創価学会インタナショナル)では、国連が推進する「世界の子どもたちのための平和の文化と非暴力の国際10年」(2001年から10年)への支援活動を各国で展開している。その一環としてアメリカSGIが制作した企画展示「世界の子どもたちのための『平和の文化』の建設」は本年、スペインのバルセロナ、ヨルダンの首都アンマン、アメリカのコロンビア大学やハーバード大学などで開催され、市民教育の好例として学識者からも評価されている。このうち、ハーバード大学展に出席した平和学者のマイケル・トゥルー博士(アサンプション大学名誉教授)の声を紹介する。(聞き手・長岡良幸)


「力と暴力はまったく正反対」

 ――「平和の文化」の構築は人類にとって大きな課題ですが、その眼目となるのは何であるとお考えですか。

 「平和の文化」への挑戦は、とてつもなく巨大で、奥深い課題です。私は平和問題に取り組んで40年ですが、その実感は年々に深まります。

 「平和の文化」をうたった国連宣言は、「この地球上の人々は、たがいに密接に支え合って生きている存在である」との視点に立っており、これは人類の生存に不可欠のビジョンです。

 なかでも、私は、「非暴力」を平和の文化の構築手段として強調している点が最も重要であると考えます。

 「力と暴力は、まったくもって正反対である」と哲学者ハンナ・アレントは喝破しましたが、武力によって平和を達成することは絶対にできません。

 特に国家レベルの武力行使は破壊的暴力であり、その影響は我々の想像以上に甚大です。例えば、私は今、ベトナム戦争に関する著作を執筆していますが、戦禍の全体像というものは、戦争終了時点ではいまだ計り得ないものなのです。

 いかなる戦争であれ、その被害は、戦闘の犠牲になった人々や破壊された土地に留まらず、例えば帰還した軍人のその後の人生や、家族の崩壊、さらに環境汚染といった広範な分野に深刻な影響を及ぼすことが知られています。したがって我々は、武力・暴力によらない紛争解決を粘り強く模索すべきです。

 「平和の文化」宣言は、人類の指標となりえるものです。それは単に抽象理念を述べたものではなく、具体的な平和への方策・実践論が示されているからです。

国連を軸とした国際世論を

 ――「平和の文化」への取り組みは、国連を軸とした国際世論の醸成にもつながるものですね。

 (“平和研究の母”として名高い)エリース・ボールディング博士は「国連を私たちのバックヤード(裏庭=身近な場所の意)に」と訴えておられますが、国連を身近に意識できる活動が、国境を超えて人々を結びつけ、平和への広範な連帯を構築することにつながります。

 アメリカでは残念ながら、国際法に従うより国益を優先させることがまかり通っています。

 私には、服役中の3人の友人がいます。彼らは、アメリカが保有する核兵器を解体しようとコロラドに行って逮捕されたのです。彼らの行動はアメリカの司法で罰せられましたが、「大量破壊兵器の違法性」に人々の目を向けさせる論議の呼び水となりました。

 これまでも数々の議定書が「大量破壊兵器は国際法に照らして違法である」とうたってきましたが、今後も国連を機軸とした国際的な平和意識・平和行動の潮流を高めることが必要ですし、イラク情勢ひとつ見ても、国際世論はその方向に進んでいると思います。

民衆の平和教育に貢献

 ――その潮流を確実なものにするためには、平和教育の拡充が必要ではないでしょうか。

 その通りです。まず、大学教育に携わってきた立場から言えば、各大学で「平和学」「紛争学」が広く教えられることが大切です。

 ノートルダム、シラキュース、コルゲート、マンハッタン、タフツ、ホーリークロス、ブランディーズなどの大学に規模の大きいプログラムがありますが、さらに多くの大学が取り組んでほしい。「国際関係学」と通じる部分はありますが、「平和学」「紛争学」として確立したプログラムが必要と考えます。

 また、小・中・高の教育課程においても「紛争解決」について学ぶ教育を充実させていくことが「平和の文化」の基盤になります。

 さらに、平和教育は学校教育に留まるものではありません。より広範な地域社会において市民を啓発することが重要です。

 その意味で、私はSGIの貢献に深い敬意を捧げるものです。国連の国際10年を支持し、こうした「平和の文化」展をはじめ、広範な民衆意識の覚醒に果たしてこられた役割は大きい。

 さらに学術交流の分野では、ボストン21世紀センターの活躍にも感銘を深くしています。

 SGIがこれまで積み上げてきた貴重な成果を生かして、今後も他の団体と連携して活躍の舞台を広げられるよう期待しています。