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【米国の識者に聞く−インタビュー2002】


アメリカ創大副教務部長
アン・ホートマン

(2002年7月16日付)


“世界市民”育成の理想
アメリカ創価大学


 昨年5月に開学したアメリカ創価大学オレンジ郡キャンパスでは、来月に2期生を迎えて開学第2年をスタートする。人類の平和と幸福に貢献する「世界市民の育成」を掲げて、21世紀とともに第一歩を踏み出した新しい大学――教員の目から見た実像を、アン・ホートマン副教務部長(生物学教授)に語ってもらった。(聞き手・長岡良幸)

 1期生の努力と資質に感嘆の声が

 ――アメリカ創価大学(SUA)の開学1年目を振り返って、最も強く印象に残っていることは?

 私の人生において、最も有意義で、エキサイティングな1年間でした。

 これは教授陣が口をそろえて称賛していることですが、まず第1に「学生が素晴らしい」ことがSUAの誇りです。

 創立者・池田大作博士が示された「人間主義教育」という、高い理想のもとに集った1期生たち。みな優秀な資質をもち、思慮深く、創造性が豊かです。そして何よりも素晴らしいのは、彼らが「大変な努力家」であるという点です。私は長い教員生活で、これほど一生懸命勉強する学生たちに出会ったことはありません。

 SUAの図書館は24時間オープンですが、そこで夜を徹して勉強している学生たちをよくみかけます。なかには“この図書館に住んでいるのではないか?”と思わせるような学生もいますよ(笑い)。

 また、SUAの学生は「責任感」が強い。私は立場上、学生からさまざまな相談を受けますが、彼らが責任を他に転嫁せず、「問題解決のために、自分にできることは何か」を考える姿勢をもっていることに常々感銘を受けています。

 アメリカの大学では、学生が大学に不満があると担当者のところへ来て「これが問題だ。大学側が解決してくれ」という態度が一般的ですが、SUAの学生は本当に“ひと味違う”といえましょう。

 さらに、学生が素晴らしいのと同時に「教員が素晴らしい」ことも、SUAの誇りです。私の知る、どの大学と比べても、SUAほど、学長を先頭に各教授たちが、ただ「学生のために」との一点で心を砕き、懸命に働き、学生に尽くす大学はありません。

 「学生に尽くす」がSUA教員の信条

 ――教育内容の面でSUAは他大学と比べて、どこが違うのでしょう。

 まず、建学の理念である「世界市民の育成」に向けた教育プログラムと、それが実際に成果をあげるための教職員・学生のコミットメント(献身)が、ずば抜けていると思います。

 学生全員が、在学中に半年間の外国留学を体験することが「必須」となっている大学は、私の知る限りSUAの他にはありません。自分の生まれ育った国しか知らないのと、さまざまに異なる社会で実際に生活して視野を広げるのとでは、「世界市民」の実像が大きく違ってくるのは当然です。

 私たちは、外国留学に欠かせない語学教育の充実にも力を入れています。

 また、リベラル・アーツ・カレッジならではの少人数教育によって、学生一人一人の学業や大学生活に対する充実したケアが実現できることが大きな特徴です。

 大学の機能は「研究」と「教育」の両輪を担っていますが、研究活動を重視する教員は学生を教えることには身が入りにくい。“内心はいやいやながら教壇に立っている”ような教員に教わることは、学生にとって不幸です。

 その点、SUAには、「学生を教えることを最も重視する」教員たちが揃いました。

 知識は変化する、だから人間をつくれ

 ――ホートマン教授自身は、数ある大学のなかで、なぜSUAを選ばれたのですか。

 その答えは、きっと他の教員たちも同じでしょう。それは、創立者の教育思想とSUA建学の理念に共鳴したからです。

 私は仏教徒ではありませんが、池田博士の思想に脈打つ「生命の絶対的尊厳」「人間革命に始まる世界平和」「自己と環境の不可分性(依正不二)」などの仏法の人間主義、平和主義に全面的に賛同しています。

 確かに、SUAの他にもそうした理想を説く大学はありますが、私の見るところ、理想を現実とするのにSUAが最も近い距離にいると確信します。その歴史的実験の始まりに我が身を置いている――だから私の毎日は、身震いするほどの興奮でいっぱいです。

 ――ご自身の専門である生物学のクラスでは、どのようなことを重視していますか。

 一言で言えば「科学者の態度」を身につけることでしょうか。もっと突き詰めていくと、それは「人間としての責任感」とも言えます。

 日進月歩する科学の世界では、知識は刻々と新しくなっていきます。大学で最新の情報を覚えても、卒業時にはすでに役に立たなくなっていることが多い。

 大事なことは、世の中の現象について、「なぜそうなのか、どうすれば変わるのか」と論理的・客観的にアプローチする考え方・姿勢を身につけることを、私のクラスでは重点に置いています。

 科学を使うのは「人間自身」ですから、私たちが目指すのは「人間としての責任感」を培うことに帰着します。私のクラスでは第一歩として、環境科学を使って地域の環境問題にも取り組んでいます。また、2年目は「遺伝子」など先端の分野にも取り組む予定で、この夏は準備のために目の回るような忙しさです。

 しかし、このキャンパスから、やがて人類の幸福と平和のために働く「創価の科学者」「創価の医学者」が陸続と育ちゆくことを思えば、心躍るではありませんか。



略歴 Anne Houtman ポモナ大学、カリフォルニア大学ロサンゼルス校で人類学を専攻し、オックスフォード大学で動物学博士号を取得。ウェスリャン大学、ノックス大学で教員経験と研究実績を重ね、2000年からアメリカ創価大学へ。開学前の教育プログラム準備に携わり、現在、副教務部長と生物学教授を兼務する。研究の専門は鳥類の行動生態学。