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【米国の識者に聞く−インタビュー2001】


対話と教育で「カリブの連帯」を!
ジョーンズ・ヘンドリクソン博士

(2001年6月19日付)



SGI会長の平和哲学が啓発の指針に



 池田SGI(創価学会インタナショナル)会長は先月28日、カリブ海地域随一の学術団体「カリビアン研究学会(CSA)」の名誉会長に就任した。各国の首相や政府首脳、経済、教育、学術、文化の多彩なリーダーが加盟するCSAの目的と活動、SGIに寄せる期待について、CSA元会長のジョーンズ・ヘンドリクソン博士に聞いた。(セントマーチン島・長岡良幸特派員)

 「カリビアン意識」を醸成する活動

 −−CSAを創立した目的は何でしょうか。

 CSA以前にもカリブには様々な会議や学術団体がありましたが、すべて特定の分野に関するもので、「カリブ地域全体を包み、カリブの多様な人々を結びつける」にはいたりませんでした。

 1974年にプエルトリコのローランド・ペルーセ氏が、カリブ地域に関わるあらゆる分野の研究を含める学会の結成を呼びかけました。翌75年1月に第1回総会が開催され、今年で第26回となります。

 その目的は一言で言えば「カリブの連帯」です。

 −−歴史上、カリブ海地域は西欧諸国の植民地競争によって細かく分断されてきました。地理的に同じ海を共有し、互いに近距離の島々であっても、言語、文化、生活習慣まで異なる地域。「連帯」といっても簡単ではないようです。

 そうです。過去に政治的な試み、経済的な試みもありましたが、あまりうまくいっていません。

 まず外側の枠組みを変えようとすると、政治的な主張や利害が先行してしまう。

 CSAのアプローチは「対話」と「教育」を基軸として、学術研究、文化交流、人材の育成を進めるものです。

 その中で、カリブの人々を結ぶ「カリビアン意識」を醸成してきたのです。私たちを分かつ「違い」を強調するより、「共有するもの」に焦点を当てることが大事です。

 SGIとCSAの共通点は人材育成

 −−世界を結ぶためには、まず対話と交流によって「人間と人間」を結ぶ。その方向性は、SGIの基調と同じです。本年の総会でCSA名誉会長の称号が池田SGI会長に贈られ、CSAとSGIの交流が本格的に始まりました。

 うれしいことです。大きな目標に向けて、CSAには確かな哲学的支柱が必要です。池田会長の哲学は、私たちに大きな啓発を与えてくれるものです。セントマーチン島の総会の会場で開催された「ガンジー・キング・イケダ」展は、池田会長の思想と行動を学ぶ良い機会であり、多くの参加メンバーが貴重な価値を学んでいくことと期待しています。

 SGIとCSAに共通する価値観は多くありますが、最も大事なことは「青年の育成」です。

 CSAでは若手研究者に意欲と機会を与え、次世代がより活躍できるように尽くしてきました。この総会でも私が2、3年前に出あった若手が大きく成長してきた姿を見て、喜びでいっぱいです。

 私はSGIの「一人一人を慈しむ」人材育成、青年の教育の実績に心からの敬意を表します。CSAは個人が参加する緩やかな連合体ですが、SGIは組織体として確固たる基盤があり、青年の育成を含めた一切の活動が効率的に行われている。しかし、両団体ともに、「青年こそが未来である」との志向性は同じです。

 地球化の時代の“生き残り戦略”を

 −−カリブ地域の未来世代にとっての課題は何でしょうか。

 最も大きな挑戦の一つは、世界的に進む急速なグローバリゼーション(地球化)の時代の波に応じながらも、いかにしてカリブの人々が没個性に陥らず、カリブ地域として生き残れるかだと思います。

 いずれにしても、解決の方途を見つけだす唯一の道は「対話」。しかも「忍耐強い対話を積み重ねる」ことしかありません。

 若い世代が、この「対話」の価値を理解し、尊重できることが大事です。

 カリブ地域には困難な課題が山積しています。識字率の向上、エイズや麻薬の根絶など、道は遠く、一世代では解決できません。

 ゆえに「教育」です。教育と人材育成がカリブの未来を開くキーワードです。

 うれしいことに、この26年にわたる努力の積み重ねの成果として、CSAのメンバーの中から各国の首相や財政・金融の責任者、大学の首脳を務める人材が多く輩出されました。

 私たちは直接の政治活動や政策決定は行いませんが、「カリブの連帯」を目指すCSAの理念が、こうした人材の活躍を通して地域社会に生かされていくのです。



略歴

S.B.Jones-Hendrickson
 経済学博士。ジャマイカの西インド大学教授を経て、バージン諸島大学教授。1974年のCSA創立メンバーで元会長。カリブ海諸国の外交分野でも活躍する。夫人はCSA会長のコーラ・クリスチャン医学博士。米領バージン諸島在住。