
(2000年12月19日付)
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アメリカ創価大学を民主教育の殿堂に 大学の頭脳・図書館は永遠の知恵の源泉 |
明年五月に開学するアメリカ創価大学(SUA)に対し、アメリカの大学教育関係 者から期待の声が高まっている。人間主義、平和主義、生命尊厳の「創価教育思想」 に共鳴し、「ぜひSUAの建学の礎(いしずえ)に」と名乗りを上げて教育スタッフ に加わる教授・専門家も多い。一月二日に、キャンパス内の建物として最初に完成す る「池田大作・香峰子図書館」のジョン・シェリダン初代館長も、その一人。「学生 中心」を掲げるユニークな図書館運営の考え方を聞いた。(オレンジ郡アリソヴィエ ホ=市川靖典・長岡良幸記者)
――なぜSUAで働くことを希望されたのですか。
私の友人にSGI(創価学会インタナショナル)のメンバーがおります。といって も、SUAの募集広告を見るまではSGIやSUAについて語り合う機会はなかった のですが、それを機に創価の教育理念を知るようになり、知れば知るほど興味がわき ました。
第一に、私はアメリカの教育者、ジョン・デューイを尊敬しているので、牧口初代 会長がデューイの教育思想から影響を受けられたことを大変にうれしく思います。 (牧口会長が日本の教育改革を叫んだように)私はアメリカの教育には改革が必要だ と考えております。特に、民主的なアプローチが大切です。
また、牧口会長と戸田会長が世界大戦へと突き進んだ日本の軍国主義に反対し、投 獄された点にも共鳴します。私自身もアメリカのベトナム戦争に異議を唱え、兵役を 拒否し、戦争税も支払いませんでした。
真の平和とは、「平和に賛成しなければ罰するぞ」などと人を強制してつくれるも のではありません。ゆえに「教育」こそ、平和実現への最高の道です。「世界平和」 に貢献する人材をつくる学府の図書館を任されたことを、私は心から光栄に思いま す。
――図書館は大学の「頭脳」であり「心臓」であるとされます。SUAの図書館は どのような特徴がありますか。
図書館が大学の頭脳であり、大学全体に影響を与えていくという考え方に全く賛成 です。学生たちは、大学で学んだことを卒業後にどう生かしていくか、この点を知ら なければなりません。
昔は学生にできるだけ多くの知識を教え込もうとしましたが、最近は、あらゆる情 報をどこからでも手に入れることができるわけですから、むしろ何が必要な情報かを 見分ける知恵を得るべき時代になっています。
したがって図書館とは、学生同士、また学生と教職員が語り合いながら、重要な情 報とは何かを判断していく場所だと考えます。SUAの「池田図書館」は、学生にと って居心地が良く、いつでも、どんな研究でも自由に行うことができる啓発の場にし ていきたいのです。
この図書館は建物全体で二十二万五千冊を収蔵できます。最初は学生たちのカリキ ュラムの進展に合わせて、徐々に蔵書を増やしていく計画です。データベース化され た図書目録には、大学から全学生に支給されるラップトップ・コンピュータから、い つでも、学内のどこからでも、接続できるようになります。
この目録には、各文献に関する記事情報なども含まれます。さらに、SUAでは語 学が重要となりますから、英語による目録は共通として、英語以外の書籍について は、その言語による情報も付加いたします。海外から入学する学生の出身国の新聞も すべて図書館にそろえる予定です。
また、学生が勉強している専攻の科目に合わせた図書を五十冊、百冊、あるいは二 百冊の単位で図書館から教室に必要な期間だけ移動させる計画もあります。すべての 図書はコンピュータで把握(はあく)されますから、学内のどこに移動しても心配あ りません。少しでも学生の役に立つためにと、私たちは知恵を絞っているところで す。
――素晴らしい考えです。図書館の責任者として学生とどのようにかかわっていき たいですか。
一言で言えば、「いつでも、どこでも」学生たちと直接ふれあっていきたいので す。図書館に来る学生一人一人を、入り口で尊敬を込めて出迎える館長でありたいと 決意しています。
(SUAに来るまで館長を務めた)コロラド大学図書館では、毎年一回、朗読の日 がありました。私の役目は、その行事の一番最後に回ってきます。その時には、すで に夜遅い時間になりますが、親が子供たちに読んで聞かせるような話を、集った学生 たちに読んであげることなのです。優しい母親のようにクッキーとミルクまで用意し たんですよ(笑い)。
もう少し高尚(こうしょう)に言いますと、私は大学の図書館を、学生が民主主義 を実験し、実践する場所にしたいと考えているのです。
たとえば、学生が本の返却に遅れたらどうするか。私は「罰金を払いなさい」など と決して言いたくありません。お金の問題ではないからです。
その解決を、学生たちに聞いていきたいのです。罰金のシステムでは、本の延滞が 他の学生から勉強の権利を奪う行為であることを学ぶ機会は生まれません。学生自身 がルールを決定し、私たちはその自主性を最大に尊重していけるようでありたい。
創立者が示されたSUAモットーの一つに「生命ルネサンスの哲学者たれ!」と。 古代語は私の専門ですが、「哲学者」とは「知恵を愛する者」に由来します。図書館 は、データを情報化し、情報を知識化し、知識を知恵化する場です。この学びのプロ セスは、人間にとって生涯にわたる継続作業であり、ゆえにSUAの「池田図書館」 は永遠に学生とつながっていくと確信します。
略歴John Sheridan コロラド大学図書館長を15年、トランシルバニア 大学図書館長を7年務めたのをはじめ、諸大学の図書館で豊富な経歴をもつ。アメリ カ図書館協会、大学・研究所図書館協会などの役員も歴任。図書館における教育や図 書システムに関する論文、国際会議での発表が多数あり、各地の図書館の指導に招か れることも多い。古代言語のサンスクリット語、ラテン語の専門家として語学教育の 見識も豊かである。