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(2006年10月31日付)
ある日突然、犯罪によって愛する家族や幸福な生活を奪われたら――犯罪被害者支援のあり方を考えるフォーラム(主催=全国被害者支援ネットワーク)が今月3日、東京都内で開かれた。パネルディスカッションでは被害者の家族も登壇。心身ともに深い傷を負いながら、「食べることにすら不安を覚える」ほどの経済的苦境に立たされるなど、生々しい現実を直接聞き、さらなる支援拡充の必要性を痛感した。
報道による2次被害も後を絶たない。たった4歳の息子を目の前ではねられ、生命を奪われた母親は「検察官から『子どもだから飛び出したんじゃないか』と言われ、新聞にも『道路を横切った』と事実でないことを書かれた。自分たちで抗議に動かなければならず、本当につらかった」と涙まじりに述懐した。
「活字の力」は大きい。記者の何げなく書いた一文が、被害者と家族をどれだけ苦しめるか。十分に心しなければならない。
米国では、被害者支援団体がマスコミ対応に当たる体制が普及しているという。日本でも試みられているが、残念ながら、まだ十分に機能していない。被害者への取材は代表が行うなど、メディア側の努力も必要だが、被害者が伝えたい情報を負担なく発信でき、正確な報道が可能になるような支援策が講じられることを望みたい。
一方で、うれしいエピソードも耳にした。ある被害者家族は、たまたま目にした小さな新聞記事がきっかけで、被害者支援団体と巡り合い、大きな支えになっているという。「活字の力」はまた、人と人とを結び付け、読者に励ましを送り、希望の道しるべになることもできるのだ。
昨年、「犯罪被害者等基本計画」が閣議決定され、被害者支援は大きく前進し始めた。計画に基づいて設置された初の「犯罪被害者週間」(11月25日〜12月1日)には、この問題への理解を深めるための催しが各地で予定されている。
「犯罪被害者の置かれた立場を知ってほしい。皆で力を合わせて、誰もが安全に、安心して暮らせる社会に変えていかなければならない」。被害者家族の切なる願いをかなえるために、「活字の力」を役立てたい。(落合克志記者)