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(2006年2月28日付)
「音と光」「氷雪と炎」「感動と興奮」に彩られたトリノ・オリンピックが、成功裏に幕を閉じた。
今大会は日本時間の深夜から未明に行われた競技が多かったにもかかわらず、女子フィギュアスケート(24日、NHK総合)の瞬間最高視聴率43・1%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)をはじめ、テレビ中継で軒並み高視聴率を記録した。手に汗握り、眠い眼をこすりながら声援を送った方も多いだろう。
競技の一部始終をリアルタイムで放映できるテレビに比べ、活字メディアは情報量、速報性ともに及ばない。
そこで、新聞各社はインターネットのホームページを駆使して速報性を高めたり、トリネーゼ(トリノ市民)の生活や街の様子を紹介するなど「サイドストーリー」を充実させ、幅広い報道を展開した。
その中で、イタリアの代表的な全国紙「ラ・スタンパ」の編集キャップへのインタビューが目を引いた(「ヨミウリ・オンライン」2月20日付)。
「連日12ページもの五輪特集面を埋めるのは大変なのでは?」との質問に対し、彼は「イタリア選手が活躍しなくても、選手には書くべきストーリーがあります。(中略)本当に伝えるべきは、『メダル』ではなく競技と向き合う選手の姿ではないでしょうか」と答えている。
スポーツ報道において、競技の結果を伝えることは不可欠だ。勝負の世界である以上、メダルにこだわるのも当然だろう。だが、スポーツを通して「人間」を描き、感動を紡ぎ出すことにこそ、より大きな意味がある。
フィギュアでアジア人初の金メダリストとなった荒川静香選手の素晴らしい演技も、トリノに至るまでの彼女の栄光と挫折を知ればこそ、より一層胸に迫る。
銅メダルに終わったが、母を看病し、自らも病と戦いながら五輪女王の座を目指したスルツカヤ選手のあくなき挑戦の心。土壇場の状況から強豪を次々撃破し、日本にカーリングの魅力を知らしめた「チーム青森」の粘り強さ。メダルには届かなかったが、故障や大けがを乗り越えて見事な復活を果たした選手たちの闘争心――それぞれの挑戦のドラマから、どれだけの人がさわやかな感動と勇気を得たことか。
来月には、トリノでパラリンピックが開幕する。限られた時間と紙面の中で、戦い続ける人間のドラマを少しでも多く伝え、読者に「感動」と「勇気」を与えられる報道を心したい。(落合克志記者)