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(2005年12月13日付)
「末期がんが治る」との謳い文句で、キノコの一種・アガリクスの健康食品を書籍で宣伝したとして、10月初旬、健康食品会社の社長や出版社役員らが、薬事法違反(承認前の医薬品の宣伝)の疑いで逮捕された。
出版社役員は、警視庁の調べに「新聞に書籍広告を出すと、健康食品の注文が殺到した」と供述。警視庁は今月7日、この広告を掲載していた新聞40社と、日本新聞協会、新聞広告審査協会に対して、広告の厳正審査を求める要請書を送付すると発表した。
警視庁による新聞への“防犯要請”は、異例のこと。架空のがん患者の体験談が収録されていた点も含め、詐欺同然の“バイブル本”だっただけに、広告掲載した側の責任が問われるのも仕方あるまい。
広告媒体のチェック体制が十分に機能し得るか否か――例えば、昨今の消費者金融のCMが問題視されていることからも、あらためて検討する必要があろう。
この点に関して、丹羽俊夫・元テレビ朝日番組審査専任局長は「マスコミ各社が、それぞれの広告掲載基準を守れば、虚偽広告を避けられたかもしれない」と厳しく指摘。また「警視庁の要請を重く受けとめなければならない。建前上の反省でなく、実効性のある改善策を講じなければ、言論の自由への介入を、皮肉にも自ら招くことになりかねない」と強調した。
社会的な影響を考慮すれば、広告も記事の一つ。報道記事と同様の効果がある。不況による広告収入の減少、社内のセクショナリズムなど、いかなる理由であれ、市民の利益に反する広告は、その媒体の評価や品格を下げることにつながり、ひいては、ジャーナリズムの矜持を傷つけることになる。
いずれのメディアにとっても、広告の自主規制は今まさに、重要課題の一つとなっている。本紙では、厳正な審査基準をもち、それに照らして、問題となったバイブル本の広告は掲載されなかったが、今回の事件を“対岸の火事”と見ることなく、重大な教訓として真摯な姿勢で受けとめたい。(光沢昭義記者)