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(2005年5月24日付)
TBSの公式ホームページのコラムで、新聞記事から計35本、42件の盗用が見つかった。盗用の事実はもちろんだが、何より衝撃だったのは、盗用したスポーツ局担当部長(47)が、発覚当初、外部のフリーライターに罪を肩代わりさせようとしたことだ。
TBS広報部によれば、担当部長は動機について「魔がさした」と語っているという。だが、2001年、02年は各1本ずつだった盗用が、03年には14本、04年8本、そして今年は掲載された11本すべてに盗用があったというから、これは完全な確信犯であり、「魔がさした」などというレベルの問題ではあるまい。
なぜこんなことが起こったのか? 原因は様々考えられるが、最も重大な問題の一つは、このコラムのほとんどを担当部長一人で執筆し、誰も内容をチェックしていなかったという点にあるだろう。
米国の有名な捏造・盗用事件を取り上げた『捏造と盗作』(潮出版社)の著者で、在米ジャーナリストの高濱賛氏は、捏造・盗用防止のカギとして、(1)社内に編集(編成)局長と同格のフルタイムのオンブズマンを置き、常時、誤報、捏造、盗用の有無をチェックするシステム作り(2)入社後は、第一線記者らによる研修で、人権尊重、捏造・盗用厳禁などジャーナリストとしての職業倫理観を徹底的に叩き込む(3)「魔がさす」「責任を転嫁する虚偽の説明をする」ような兆候がある記者は、メディアの生命線である報道・編集の場から直ちに外す――などの点を挙げる。
さらに「うそつき、あるいはその素養のある者は最初から雇わないことだ。そのためにも、ジャーナリスト希望者は、入社以前からジャーナリストとしての技能や見識を自ら培うような職業風土を確立する時期に来ているのではないか」として、ジャーナリズム大学院やインターンシップ制度の必要性を説いている。
情報があふれ返る現代社会にあって、いかなるメディアも盗用の落とし穴と無縁ではない。もって「他山の石」としたい。だが、捏造や盗用は、メディアにとって最も大切な「読者・視聴者からの信頼」を揺るがす死活問題だ。TBSには徹底した原因究明と処罰、再発防止への取り組みを望む。そして、私たち自身がジャーナリストとしての矜持をさらに高く保つとともに、捏造やデマが横行する日本のメディア風土を浄化する努力をより一層、進めていくことを誓いたい。
(落合克志記者)