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(2005年4月12日付)
同志社大学メディア・コミュニケーション研究センターが、研究誌第2号を発刊した。「世界の法・倫理綱領の比較研究とメディアの質的向上のための提言」をテーマに、論文、講演、エッセー等で構成、メディア界の論客が健筆をふるっている。
質の高い論考がそろう中でも、現役新聞記者の今西光男氏による「公益法人活動と日本のメディア経営―なぜ、社長が暴君になったのか―」は、産業メディア論の視座から、現代メディアのはらむ問題点に鋭く切り込んでいて、興味深かった。
今西氏によれば、メディア経営者の不祥事が近年続発した理由の一つに、株式の保有者や譲り受け人を新聞社の事業に関係する者に限る「社内株の譲渡制限」――つまり、社外による株保有を排除できる仕組みがあるという。その上で「経営をチェックする機能が働かず、健全な批判勢力も内部から排除されたら、経営者に慢心と傲慢が生まれ、組織が腐敗する」と指摘。マスコミの信頼失墜に、経営形態との深い関連性を解き明かした点は、斬新な試みといってよい。
また、作家・山口泉氏の論文「『正義』と『平和』―『戦後民主主義』の功利主義的限界を超える、新たな倫理のための一補説―」では、損得や利害に傾きがちな風潮が、民主主義の空疎化を招いたとする。山口氏は、平和・人権・正義といった概念を問い直しながら、あまりに無責任なジャーナリズムの体質を浮き彫りにしていく。
メディアの課題が細分化・多様化している時代だけに、アカデミズム、ジャーナリズムを問わず、その要請に応える論究が、これまで以上に重要性を帯びている。歴史や経営論にまで踏み込んだ同志社大の研究誌は、その意味で、十分に高い水準を確保している。
(光沢昭義記者)
●同誌に関する問い合わせ先=同志社大学メディア・コミュニケーション研究センター<〒602―8580京都市上京区今出川通烏丸東入 電話075(251)3494>