【Seikyo Media Page】Copyright (C) 1997-2005 by The Seikyo Shimbun.



連載「ニュースの眼」
ニュースの眼

ハンセン病問題検証会議が報告書

「報道しない罪」の重さ糾弾

(2005年3月22日付)

 ハンセン病強制隔離政策の実態と原因を究明する「ハンセン病問題に関する検証会議」(座長・金平輝子元東京都副知事)が1日、2年半余にわたる検証作業を終え、最終報告書を提出した。

 計1500ページにも及ぶ報告書では、新聞報道を中心にマスメディアの責任も検証。「歴代の新聞記者の多くはハンセン病問題に不勉強で、療養所に足を踏み入れることもなく、『隠ぺいされた人権侵害』の救済に無力だった」「報道者が気付かぬということは、社会的に問題を抹殺したのも同然」と、「報道しない罪」の重さを指摘、厳しく糾弾した。

 なぜ過ちを犯したのか? 原因の一つとして、ニュースの価値判断が「多数の読者」の要望に偏り、突発・特異な出来事など、話題性のあるものや一過性の出来事を大きく扱うマスメディアの体質が挙げられている。その結果、ハンセン病問題のような「少数ではあるが、すくい上げる必要度の高い問題」が隅に追いやられてしまったのだ。

 報告書は、ハンセン病報道の過ちは「日本の戦後のマスメディアが構造的に抱えている、そして、いまだ克服し得ていない問題に起因している」と強調。対策として、記者個人には「世間の常識や国の政策について安易に現状を追認せず、懐疑的な目で正邪を問い直す姿勢」や「少数者の声に耳を傾け、その声を社会に伝える努力と工夫」を、報道機関には「水面下で眠っている問題の掘り起こしにも力を入れさせる仕組みづくり」などを求めている。

 一昨年、熊本で起きた元患者の宿泊拒否事件を見ても明らかなように、ハンセン病問題はまだ終わっていない。報告書を取りまとめた内田博文副座長(九州大教授)も、「この検証は一つのステップであり、完結ではない。検証結果を多くの人たちに伝え、受け止めていただき、つないでいきたい」と語っている。

 検証会議は、最終報告書を「問題解決を広く国、社会へ引き継ぐためのバトン」と位置付けた。このバトンをメディア自身がしっかり受け取るとともに、多くの人に手渡しながら、「偏見・差別なき社会」というゴールを目指したい。

 (落合克志記者)