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連載「ニュースの眼」
ニュースの眼

ドキュメンタリー・ビデオ『ライファーズ』

「犯罪と向き合う社会」に示唆

(2005年2月22日付)

 京都シネマ(京都市下京区)で公開されていた『ライファーズ 終身刑を超えて』の上映が好評のうちに幕を閉じた。自主製作ながら、完成以来、各地の上映会で注目を集め、昨年のニューヨーク国際インディペンデント映画祭では「海外ドキュメンタリー部門・最優秀賞」に輝いた秀作だ。

 ライファーズとは「終身刑受刑者」のこと。以前、本欄でも紹介したが、米国で犯罪者の更生に取り組む「アミティ」という団体がある。この作品は、アミティのプログラムに参加する受刑者や元受刑者の「更生」の姿を描いたドキュメンタリー・ビデオである。登場人物は皆、十代の頃から薬物に手を出し、他人に危害を加え、逮捕と服役を繰り返してきた「凶悪」な犯罪者だ。だが、今スクリーンに映し出される彼らの穏やかで優しさに満ちた表情には“癒し”すら感じる。

 自らの過去と徹底して向き合い、蘇生していくライファーズ。その姿は他の受刑者の手本となり、絶望の淵にある受刑者や塀の外に戻った元受刑者らに希望を与える存在になっているという。

 悲惨な事件が起きるたびに何ら有効な手立てが打てぬまま「厳罰化」をあおるマスコミと「排除」に走る日本の社会。『ライファーズ』の監督で、10年以上にわたりアミティを取材してきた坂上香さん(京都文教大助教授)は、こうした傾向に危機感を抱きながら、「この作品で『人は変われる』という希望に光を当てたかった。私たち一人ひとりが犯罪や暴力とどう向き合うか、それを考えるきっかけにしてほしい」と強調する。

 今後は各地での上映会のほか、児童自立支援施設での上映も計画されている。また「刑務所や少年院などで上映し、受刑者の人たちにも観てもらいたい」(坂上さん)という「夢」もある。

 だが、あくまでも問題の根は「塀の中」ではなく「外」にこそある。「暴力と憎悪」「加害と被害」の連鎖を前に立ち往生している私たちに、『ライファーズ』は歩むべき道と多くの希望を示してくれる作品である。(落合克志記者)