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(2004年9月28日付)
ここ数年来、プロ野球がこれほどメディアを賑わせたことはなかっただろう。オリックスと大阪近鉄の合併に端を発し、史上初のストライキにまで発展した球界再編問題は23日、日本プロ野球組織(NPB)と労組・日本プロ野球選手会が、来季の12球団による運営を視野に、新規参入球団の審査を速やかに行うことなどで合意、収束した。
当初、合併凍結を求めるファンの声や選手会の話し合い要求に、NPB側は耳を貸さなかった。しかも、近鉄買収に名乗りを上げた企業を一顧だにせず、強引に合併を進め、「10球団による1リーグ制」すら口にする経営者側の態度は「ファン不在」を強烈に印象付けた。
一方、交渉会場から球場へ直行するというハードスケジュールの中、ファンへの説明責任を果たそうと奔走した古田敦也選手会長をはじめ、選手会側の姿勢には「球界の未来と発展のため」「ファンの真心にこたえたい」との真摯な思いがあふれていた。
両者の違いをメディアが鮮明に映し出したことによって、野球ファンだけでなく、「世論」が選手会支持へと大きく傾き、これが一因となってNPB側が態度を軟化せざるを得なくなったことは確かだろう。
野球に限らず、スポーツはその国の「公共財」であり「文化」である。球団経営の改善や、制度改革はもちろんだが、アマも含めた野球界全体の発展を展望したビジョン構築と意識改革が急務であることは論をまたない。改革はまさに「今がスタート地点」(古田会長)だ。
今回の問題は、世論の持つ力の大きさをあらためて認識させる結果となった。一連の騒動をムダにしないためにも、球団側、選手側ともに「ファンあってのプロ野球」であることを肝に銘じ、魅力ある球界構築への好機としてもらいたい。
(落合克志記者)