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連載「ニュースの眼」
ニュースの眼

『犯罪報道の犯罪』が復刊

メディア改革へ必読の書

(2004年7月13日付)

 同志社大学の浅野健一教授の代表作『犯罪報道の犯罪』が、新版として新風舎文庫より発刊された。

 学陽書房、講談社文庫から刊行されていたが、絶版となり、復刊が待たれていたものだ。共同通信社の記者であった著者が、自らの取材への反省を通し、犯罪報道の人権侵害を暴いた“内部告発の書”である。

 一般刑事事件において被疑者・被告人・囚人の実名を原則として報道しないという「匿名報道主義」、メディアの報道をチェックする「プレス・オンブズマン制度」「報道評議会」の設立などを提唱し、報道の世界に論争を巻き起こした。

 あらためて読んだ。従来の内容に加え、「文春発禁問題」「イラク拘束事件報道」など最新の事例や、欧州のメディア責任制度の取材報告も収録されている。

 ともあれ、報道被害を生む体質をはじめ、マスコミの問題性は本書に網羅されている。

 聖教新聞も、社内での検討を経て、一般犯罪報道における被害者の「匿名原則」を導入した。

 かつて浅野氏の取材に同行したことがある。1998年8月、和歌山の毒カレー事件で、氏は加熱取材(スクラム報道)に狂奔する報道関係者にカメラを向けた。それに気づいて、色めき立つ報道陣……。氏は「彼らは取材はしても、取材された経験がないんです」と私に耳打ちした。

 鋭い着眼と見識、報道被害者へのこまやかな心遣い。取材の「構え」とでも言おうか。学んだものは実に多かった。

 本書が初めて世に出たのが20年前。メディア状況を鑑みるに、報道改革を志す者の“道標”としての価値は、少しも色褪せてはいない。マスコミ関係者はもちろん、広く市民に薦めたい。(木村隆志記者)