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連載「ニュースの眼」
ニュースの眼

拉致被害者家族の帰国

「節度ある取材」申し合わせ

(2004年6月8日付)

 北朝鮮の拉致被害者家族5人が帰国して2週間余り。マスコミ報道もようやく落ち着いた。

 実は、家族の帰国前、過熱取材を懸念した拉致被害者5人は、日本新聞協会と日本民間放送連盟などに「配慮ある取材」を要請していた。

 これを受けて新聞協会の小委員会などが、家族の人権・プライバシーを損なったり、周辺住民の平穏な生活を乱したりすることのないよう、「節度ある取材・報道に努める」との申し合わせを決定。日本雑誌協会も、同趣旨の申し合わせを行った。被害者本人が帰国した時と同様だが、今回は蓮池さん、地村さん夫妻らの積極的な情報提供もあり、メディアの取材も一歩前進した感がある。

 一方、報道に関しては、『週刊新潮』(6月10日号)が、地村さん夫妻の16歳の二男が喫煙していたとの記事を掲載。地村さん夫妻が「まったくの事実無根」として2度にわたり抗議文を送り、事情説明と謝罪、訂正を求めるというトラブルも起きている。

 これに対し、『週刊新潮』は「結果的に不快な思いを抱かせたのは事実で、今後は一層の注意を払わなければならないと深く自省している」としながらも、「関係者の証言を得ている」として、謝罪、訂正には応じない姿勢を示した。

 しかし、『週刊新潮』が「警察庁関係者から証言を得た」としていることについて、警察庁は7日、「全く事実でない記事で、警察の信頼を著しく損ね遺憾だ」として、同誌編集長に対し記事の訂正を求め抗議した。

 地村さんによれば、「報道により子供たちは精神的ショックを受けている」という。彼らの年齢、状況を考えれば当然だろう。『週刊新潮』は、少なくとも取材段階で地村さん側に事実確認をすべきである。

 地村保志さんは、今回の報道で「国民に広まった拉致被害者支援に影響を与えないか強く危惧している」との談話も発表した。

 曽我ひとみさんの家族との再会、行方不明者の消息確認など、拉致問題の全面解決には世論の後押しが不可欠だ。その世論を正しくリードしていく、正確で本質を突いた報道が、ますます求められている。(落合克志記者)