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連載「ニュースの眼」
ニュースの眼

新刊『日本のジャーナリズムとは何か』

“第4の権力”めぐる学際的な分析

(2004年5月11日付)

 週刊文春の出版差し止め問題やイラクでの邦人人質事件をはじめ、報道のあり方をめぐって、激しい議論が最近も交わされた。そうした事態に直面するたびに、現代メディアが果たして、ジャーナリズム本来の責務を担い得ているかどうか、考えずにはいられまい。

 近著『日本のジャーナリズムとは何か 情報革命下で漂流する第四の権力』(柴山哲也編、ミネルヴァ書房刊、3675円)は、新聞、テレビ、インターネットに至るまで、メディアの今日的課題に論究していく。16の論文やインタビューによって、多様な論点を提示しただけでなく、学際的なアプローチにも挑んだ結果、斬新な視点が随所にちりばめられている。

 とりわけ、憲法記念日の社説の分析(第5章)と、日米安保報道の検証(第9章)は、ともに時宜を得たテーマだけあって、興味をひいた。

 憲法学者・古関彰一氏は、戦後半世紀の主要全国紙の論調を振り返りながら、9条解釈や改憲論議の変遷過程に焦点を当てる。その上で、「きわめて『お説教』調のもの」が多く「(平和主義を)黙々と実践してきた無名の市民の視点などまったくない」と、各紙の“憲法社説”に厳しい批判を加えた。

 また、軍事アナリストの小川和久氏は、湾岸戦争や実習船『えひめ丸』沈没事故といった具体例を挙げながら、日本のメディアが、米国の対日戦略を理解せぬままに報道してきた点を鋭く衝いている。

 各分野の第一人者によるジャーナリズム論は、情報の波に埋没し“権力への監視”も怠りがちなメディアの実態を解き明かすのみならず、情報の受け手にメディア・リテラシーの向上を促すものといえる。その意味から、本書は現代メディアを学ぶ上で、格好のテキスト・ブックとなるにちがいない。(光沢昭義記者)