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連載「ニュースの眼」
ニュースの眼

ハンセン病元患者の宿泊拒否

「排除の論理」根絶へ啓発推進を

(2003年11月25日付)

 熊本県南小国町のホテルが、ハンセン病の元患者らの宿泊を拒否した問題で、熊本県などは21日、ホテルの経営管理会社と総支配人を旅館業法違反の疑いで熊本地検に告発した。

 かつて国や県の強制隔離政策により、いわれなき差別と偏見に見舞われたハンセン病患者の多くは、家族に累が及ぶのを恐れ、親が死んだ時ですら故郷に帰ることができなかった。

 こうした過ちに対する猛省から、熊本県は県内にある国立ハンセン病療養所の入所者らを園外に招待する「ふるさと訪問事業」を実施。今回もその一環だっただけに、元患者や関係者の受けた衝撃は計り知れない。

 ハンセン病は、入浴や飲食をともにするなどの日常生活では感染しない。高松宮記念ハンセン病資料館長の大谷藤郎氏(元厚生省医務局長)は著書『らい予防法廃止の歴史』(勁草書房刊)で、ハンセン病について「帯状疱疹や肝炎や水虫やインフルエンザなどより伝染発病力は遙かに弱く、仮に罹ったとしても今日の治療ではずっと治りやすい病気」と強調している。

 ホテル側は、感染の可能性のないことを県から再三説明されていたにもかかわらず、かたくなに宿泊を拒んだ。しかも、騒ぎが大きくなるや一転して謝罪するなど、極めて不誠実で信用できない。

 坂口力厚生労働相は、「偏見が社会に残っている表れと危ぐしている」として、差別をなくすためにさらなる努力が必要との考えを示した。

 ハンセン病に対する「無知」と、世間体を守るための「排除の論理」――今回ホテル側の見せたこの体質こそ、90年にわたる陰惨な人権侵害を生み出したハンセン病問題の“病巣”である。同じ過ちを断じて繰り返さないために、メディアも含め、社会全体がさらなる啓発活動を推進することが必要だ。(落合克志記者)